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経済戦争渦中の「石破首相訪米」は危険な賭けに 安倍元首相がトランプ氏と築いた関係は再現できない

東洋経済オンライン / 2025年2月5日 16時30分

(写真:つのだよしお/アフロ)

黙示録後のホラー映画『ア・クワイエット・プレイス』では、生存者たちは完全に静かになることで、鋭い聴覚を持つ盲目のエイリアンの侵略から逃れようとする。ドナルド・トランプのホワイトハウス復帰に直面している今日の日本も、怪物の注目を避けようと同じ戦略を試みている。

「レーダーから外れることは、我々にとって最善の戦略だ」と、東アジアの国際政治に詳しい東京大学の佐橋亮氏は言う。

日本での経験が長い元アメリカ高官は、石破茂首相にそのようなアプローチをとるよう親しい友人に勧め、急いでワシントンを訪問しないよう助言したほどだ。しかし首相は、2月7日にホワイトハウスでトランプ大統領に会うという危険な道を歩むことを決めた。

アメリカに生産を強制的に取り戻す

トランプ大統領が関税を単に交渉の切り札として使うだろうという期待は、根拠のないものに思える。彼は明らかに関税を、収入を得るだけでなく、世界経済を再構築し、生産をアメリカに強制的に戻すための手段だと考えている。

石破首相は、野獣を落ち着かせ、乱高下するレーダーの進路から外れるようにと、いつものようにプレゼントのバスケットを携えてやってきた。アメリカ産シェールオイルと天然ガスの購入拡大、防衛力増強計画の一環としてのアメリカ製防衛装備品の購入拡大など、よく練られたパッケージである。

石破首相は、防衛費のさらなる増額要求にどう対処するかという記者団の質問に答え、GDPの2%では十分でない可能性はあるが、「それは日本が決めることであり、アメリカが決めることではない」と述べた。

先週、外務省のシンクタンクである日本国際問題研究所が主催したグローバル・ダイアログでの短いスピーチで、石破首相は日米同盟の強化を約束した。しかしすぐに、ワシントンで「率直な議論をするつもりだ」と付け加えた。

石破首相は、安倍晋三元首相がトランプ氏と築いた親密な関係を再現できないことを知っている。アメリカの指導者は日本の話題になると常に安倍首相に言及するが、新しい日本の指導者は安倍首相の単なる延長線上にいるわけではないことにすぐに気づくだろう。

「石破首相のスタイルは安倍首相とは正反対で、お世辞を言うような人ではない」と、石破首相が定期的に出席する研究会に参加している日本産業パートナーズのリチャード・ダイク取締役は言う。

関税戦争はすでに始まっている

石破首相がどのような提案を持ってきても遅すぎるかもしれない。日本はすでに、トランプ大統領が仕掛けた経済戦争の事実上の標的なのだ。

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