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日本で累計5万台「プジョー206」ヒットの要因 1998年に生まれたエポックメイキングな1台

東洋経済オンライン / 2025年2月6日 7時30分

しかし、206はその慣例を打ち破り、社内デザインスタジオがフォルムを描いた。筆者を含めて、以前からプジョーを見てきたユーザーは、この変化に戸惑ったが、多くの人は好意的に受け入れたようだ。

これは同じPSAグループに属していたシトロエンが、ひと足先にデビューさせた「BX」と似ている。

シトロエンの場合は逆に、それまでが社内デザインだったのに対し、PSAグループ入りに際して、やはりイタリアのカロッツェリアであるベルトーネに依頼した。伝統的なシトロエンフリークは複雑な反応を示したが、結果的には大ヒットした。

熱心なマニアと一般ユーザーの意識の違いを教えられるエピソードだが、シトロエンもプジョーも、しっかりユーザーの嗜好を理解していたのだろう。

CCにSW…多彩なバリエーション

206は、魅力的なバリエーションも人気を後押しした。代表格と言えるのが、リトラクタブルハードトップを備えた「206CC」だ。

プジョーはもともと、1930年代にこの機構をいち早く取り入れていたが、そのときは屋根部分をそのままトランクに格納していたのに対し、206CCでは2つ折りとすることで、コンパクトなボディのままこのアクションを実現。

トランクリッドにラゲッジキャリア風の処理を施すなど、フランスらしい粋な造形のおかげで、2ドアのパーソナルカーとしてはかなりの数を送り出すことに成功した。

ステーションワゴンの「206SW」も忘れられない。

プジョーは伝統的にワゴンを多く用意してきたが、206SWではブーメランのような縦長リアコンビランプ、ピラーに埋め込んだリアドアオープナーなど、安価なワゴンとは思えないほどデザインに凝っていた。

CCは後継車の「207」やひとクラス上の「307」などにも設定され、SWは、現在も「308」や「508」のバリエーションとして健在だ。206はネーミングのセンスも光っていた。

WRCでの3連覇も人気を後押し

スポーツモデルでは、205で「GTI」がヒットしたのを受けて、206では「S16」や「RC」を送り出した。

ハッチバックの通常モデルのエンジンが、1.4リッターSOHC8バルブと1.6リッターSOHC8バルブ(途中でDOHC16バルブに変更される)だったのに対し、2.0リッターDOHC16バルブを搭載。ホットハッチの系譜を受け継いだ。

205に続いて、WRC(世界ラリー選手権)にもエントリーした。205の時代は、ミッドシップ4WDというグループB規定に合わせて生産されたマシンで挑戦しており、グループBが1986年で終了するとWRCを退いたが、その後のレギュレーションになったグループAに「WRカー(ワールドラリーカー)」という特例が生まれたことで、復帰に動いた。

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