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日本で累計5万台「プジョー206」ヒットの要因 1998年に生まれたエポックメイキングな1台

東洋経済オンライン / 2025年2月6日 7時30分

このWRカーには、「全長4m以上」という規定があった。プジョーで言えば307がふさわしいサイズだ。しかし、ショートホイールベースのコンパクトなボディにアドバンテージがあると考えたプジョーは、206をベースに前後のバンパー大型化した「206GT」というバリエーションを用意し、レギュレーションをクリアした。

この作戦は成功し、競技仕様の「206WRC」は、スバルや三菱といった日本勢を相手に2000年から3年連続でマニュファクチャラーズタイトルに輝き、うち2000年と2002年は、ドライバーズタイトルを含めたダブルタイトルを達成している。

最初に挙げた、日本での登録台数のピークの年と近いことがおわかりだろう。WRCでの活躍は間違いなく、206人気を後押ししていた。S16やRCを、WRカーのようにワイドボディ化して乗るオーナーもいたほどだ。

欠点もあれど評価すべき存在

もちろん、欠点がなかったわけではない。筆者も記憶しているのは、日本仕様の多くの車種が採用していた、右ハンドルのドライビングポジションだ。

当時の欧州製小型車は、この点に不満がある車種が他にもあったが、206の場合は外観からもわかるように、車内への空気取り入れ口を右側に寄せて置いた影響もあり、ペダルの位置がかなり手前にあった。

ペダルに合わせてドライビングポジションを取るとステアリングが遠くなり、当時はテレスコピック機構もなかったので、シートバックを立て気味にして運転せざるをえなかったことを覚えている。また、ペダルは左側(車体中央)に寄っており、少々身体をひねるように乗らなければならなかった。

ワイパーも左ハンドル用のままで、右側はリンクを内蔵することでフロントウインドー右上の拭き残しが少なくなるようにしていたものの、歩道側に水しぶきがかかる構造であることは変わらなかった。

筆者が所有したこのクラスのプジョーが205GTIと207CCで、206が抜けているのは、このドライビングポジションに馴染めなかったのと、ピニンファリーナから変わったスタイリングに戸惑っていたことが大きい。

とはいえ冒頭で書いたように、日本でも世界でも、プジョーとしてはトップレベルの販売実績を打ち立てたわけであり、エポックメイキングな1台として評価すべきではないかと思っている。

【写真】もう一度、振り返ってみたい「プジョー206」デザインの妙

森口 将之:モビリティジャーナリスト

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