「フリーランスいじめ」がしにくくなった背景 安易に安売りをせずに長い目で考えよう
東洋経済オンライン / 2025年2月6日 16時30分
小山:そうですよね。
郷:あ、でも実際にフリーランスいじめにあったときって、どこに相談すればいいんですか? 組合? 警察? 公正取引委員会?
小山:実は国が専用の窓口を用意しているんです。第二東京弁護士会が厚生労働省の委託を受けて「フリーランス・トラブル110番」というサービスを提供しています。相談は無料で、匿名でもOKです。
相談内容に応じて直接和解に動くのか、訴訟や民事調停に行くのか、労働基準監督署や公正取引委員会、中小企業庁に報告するのかなども考えてもらえます。
郷:それは頼もしい! ブックマークしておきます。
一方的な要求をされた場合は?
小山:で、いまの話は自分の身を守るためにもぜひ覚えておいてほしいんですけど、ものすごくぶっちゃけて言うと、建前論でもあるんです。
郷:と言いますと?
小山:たとえば、フリーランスになったばかりで実績もない人が、取引先の理不尽な対応にいちいち法律を振りかざしていたら、どうなります?
郷:相手は一瞬だけ「ごめんなさい」をするでしょうけど、うわさが広まったらどこも仕事を回してくれなそう。
小山:そう。たぶんそれが現実です。私も複数の会社を経営しているので取引先から理不尽な要求をされた経験はいくらでもあります。でも実は、法律を盾にしたことってほとんどありません。私が部下にもよく伝えているのは、「一方的な要求があったときに、仮にその場は譲歩したとしても、長期的に見て得するように話を持っていく」を基本とすることですね。要は負けっぱなしでは終わらない。
郷:小山先生、かっこいい!
小山:たとえば取引先から「今期厳しいんだよね。来期から軌道に乗るはずだから今回10%引いてくれない?」とこっそり言われたとしたら、「わかりました。その代わり来期から単価を毎年1.1倍させていただいていいですか?」といった要求を出すんです。いずれ担当者が代わって「そんな話は知りません」と言われるリスクもあるので、できるだけ書面で残します。
郷:賢い! 損して得とれ作戦。
小山:そう。毎回うまくいくわけではないですけど、安易に自分を安売りすることはできるだけやめたほうがいいと思います。
郷:たしかに安売りは怖そう。
安売りは長続きしない
小山:安売りに慣れてしまうと経営は悪化するし、フリーランスにとって超大事な「評価」や「自信」を傷つけることになりますよね。するとなおさら、「なんでもいいから仕事しないと」という状態になって、さらに安売りに走る悪循環に陥るんです。
郷:しかも行き着く先はレッドオーシャン。
小山:そう。とくにフリーランスのなかには実家暮らしとか、扶養に入っている人も多いので、「小遣いのためにやっているだけだから、どれだけ安い単価でも仕事を受けます」なんて人もいるんです。
郷:たしかにいますね。
小山:そういう市場だと損して得とれ作戦すら通用しないかもしれませんが、自分なりに見極めて潔く撤退するのも立派な営業戦略だと思うんです。
郷:いや~、めっちゃ納得です。
小山 晃弘:税理士法人小山・ミカタパートナーズ代表
郷 和貴:ブックライター
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