清水建設「建築事業立て直し」を託された次期社長 利益率改善のカギは「受注時採算の確保」
東洋経済オンライン / 2025年2月6日 8時0分
スーパーゼネコンの清水建設は1月31日、9年ぶりとなる社長交代を発表した。4月1日付で新村達也副社長(63)が社長に昇格し、2016年4月から経営を率いてきた井上和幸社長(68)が代表権を持つ会長に就く。
【データを見る】建築の完成工事損益率は2024年3月期にマイナスになっていた
「(中期経営計画期間の)この3年間で十分な成果が出るというある程度のメドが立った。この機会に新社長にバトンタッチしてさらなる発展を目指してもらいたい」。井上氏は社長交代の理由をそう語った。
新村氏は次期社長の大本命とみられていた。建築に強みを持つ同社では建築出身者がトップに就いており、新村氏も井上氏も建築畑。ともに早稲田大学出身でもあり、出世コースとされる「名古屋支店長」を務めた。
井上氏は〝後輩〟に当たる新村氏の評判について「お客様と話をしても非常に評価が高い。自信を持って次の社長に推薦できる」と語った。
2024年3月期は上場来初の営業赤字
社長交代会見で新村氏が強調したのは「原点回帰」だ。「品質やコスト、工程への徹底したこだわりを通じて、当社の原点である建設事業を立て直し、確固たる清水ブランドを確立していく」(新村氏)。
清水建設は前2024年3月期に上場以来初となる営業赤字(246億円の赤字)に沈んだ。建設事業の内訳を見ると、土木の完成工事損益率(単体)は10.2%だったものの、主力の建築がマイナス2.9%となったことが足を引っ張った。
新村氏は前期の営業赤字について「新型コロナウイルス禍における物価上昇や契約などの複合的な問題、非常に経験の浅い中でチャレンジした物件もあり、そういったことを原因として起きた」と振り返る。
背景には、ゼネコン各社が東京五輪後の案件不足を懸念し、激しい受注競争を繰り広げたことがある。
とくに大型案件を逃すと売り上げが落ち込むことから、厳しい採算でも受注したケースがある。また、大型な工事ほど受注から施工、竣工までの期間が長くなり、建設資材や労務費上昇の影響を受けやすい。これも利益率の低下につながった。
清水建設は近年、超高層ビルを相次いで受注している。日本一の高さ約330mで2023年11月に開業した「麻布台ヒルズ(森JPタワー)」もその一つだ。注目案件だけに受注時の採算はかなり厳しかったとみられている。
高さ約385mの「Torch Tower(トーチタワー)」も受注しており、2028年3月に竣工を予定する。「日本で一番高い建物を建てさせていただいて、今はトーチタワーに挑戦している。前回の経験をきちんとフィードバックして、いろいろな問題やリスクを潰したうえで取り組んでいる」(新村氏)。
建築事業は回復傾向へ
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