「トランプ関税」発動なら原油価格はどうなるのか 価格高騰か、それとも生産増加で急落か
東洋経済オンライン / 2025年2月7日 10時0分
ではこうした強気の相場環境は、いよいよ動き出したアメリカのトランプ新政権になって、どのように変化するのだろうか。まずはこのロシアに対する制裁措置だが、「親ロシア的」ともいわれるトランプ氏だが、政権交代で即時に緩和されることはなさそうだ。ウクライナ情勢などに大きな進展が見られない状況下で、理由もなく制裁を緩和することは考えにくい。当初は、すぐにでもウクライナ戦争の和平交渉を実現させると息巻いていたトランプ大統領も、ここへきて「就任後半年以内の停戦を目指す」と発言するなど、態度を変え始めてきている。
イランに対する態度硬化に注意
さらには第1次政権下で見られたように、イランに対してより強硬な態度を示す可能性にも注意が必要だ。核合意についての交渉に進展が見られない中で、アメリカがより厳しい制裁措置を打ち出すことがあれば、イランの生産が大幅に落ち込むリスクも改めて高まる。もし、この先イスラエルとの間に大きな軍事衝突が起こらなくとも、ロシアに加えてイランの生産も押さえ込むことになれば、1バレル=90ドルあたりまでは値を切り上げることがあっても何ら不思議ではない。
一方でトランプ氏が選挙公約として掲げてきた「規制緩和で国内の沿岸部の石油開発を可能にする」との方針は、仮に実現したとしても市場への影響はほとんどないとみてよいだろう。
なぜなら、石油開発というのは、着手してから実際に商業生産が開始するまでに数年以上の期間を要する長期プロジェクトであり、少なくともトランプ政権の4年間の間にアメリカの石油生産が劇的に増えることはありえないからだ。またシェールオイルをはじめ、アメリカの油田は採掘コストの高いものが多く、この先再び相場が軟調に推移するようになるリスクを考えれば、いくら規制が緩和されたとしても開発に対して積極的になれない業者も多いと考えられるからだ。
トランプ大統領は選挙戦の間から、エネルギー価格を大幅に引き下げ、インフレを後退させることを公約の一つとして掲げてきたが、こうした供給面の不安材料がいろいろと浮上してきたのを見る限り、短期的には可能性がかなり低くなったと言わざるを得ないだろう。
また、以前からの方針どおり、2月1日からメキシコとカナダからの輸入品に対して、25%の関税発動を発表した(その後、1カ月延期を表明)が、この両国はアメリカにとって石油の主要輸入先であることも忘れてはならない。
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