「パズドラ」ガンホー、株主がかみついた"高額報酬" 業績・株価低迷の一方、社長報酬は任天堂に匹敵
東洋経済オンライン / 2025年2月7日 7時30分
森下社長の2023年度の報酬は3.4億円。前年度の2.3億円から大幅に増え、任天堂の古川俊太郎社長の3.6億円(2024年3月期)に迫る水準だ。開発責任者も兼任する森下社長に対する過剰な報酬の支給が、ゲーム開発に対する社員らのインセンティブの欠如につながったとSCは指摘する。
報酬高騰の背景にあるのは、2023年に導入された業績連動報酬だ。森下社長は2023年度に、7600万円を受け取っている。
新制度は「業績向上に対する業務執行取締役の意識をさらに高める」ことを目的に、2023年3月の定時株主総会で93%の賛成を得て導入された。これについてSCは、固定報酬の額などを見直さずに業績連動報酬が別枠で追加されたため、「実態としては基本報酬の増額にすぎない」と批判する。
固定報酬の実質的決定権は社長に
固定報酬の額自体も増加傾向にある。2023年度は1.8億円で、開示の基準である1億円を初めて超えた2014年度と比べて約6000万円増加している。2022年度からは、オンラインゲーム「ラグナロク」シリーズを配信する韓国の子会社Gravityからの報酬(2022年度は2500万円、2023年度は2800万円)が森下社長への連結報酬として新たに開示された。
これらの報酬増加の経緯に関する東洋経済の質問に対し、ガンホーは「開示されていない情報については回答を差し控える」とコメントした。
ガンホーの取締役会は、各取締役の固定報酬の配分について森下社長に一任している。額の決定に際しては、独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会が事前審議を行うとされているものの、同委員会の委員長を務めるのも森下社長だ。
SCの株主提案では、固定報酬と業績連動報酬とのバランス見直しなどのほか、代表取締役に対して支給する基本報酬の金額を変更した場合は変更理由の開示を行うことも求めている。
森下社長は、ガンホーが2002年に主力事業をゲームへ転換した際に経営を主導した、実質的な創業者だ。パズドラのエグゼクティブプロデューサーを務め、現在もゲームの企画・開発・監修まですべてに携わっている。
パズドラが大ヒットした2013年度には、海外展開の強化などの成長戦略を「カズノミクス」と銘打って発表。「パズドラを創ったガンホーこそパズドラを越えられる」(当時の決算説明会資料)と宣言し、ガンホーの経営と開発の両面を背負ってきたが、10年以上が経った今もパズドラに匹敵する作品は作り出せていない。
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