東大の入試で「ただの知識問題」が問われた驚き 日頃からニュースを見ることで答えがわかる
東洋経済オンライン / 2025年2月7日 7時15分
それでもこのような問題が出題された背景には、きっと「ニュースでも話題になっているこの言葉を知らない受験生は東大に相応しくない」というメッセージがあるのかもしれません。
この「シェール革命」という言葉は、ニュースを見ていれば普段から耳にすることがある言葉です。教科書で暗記すべき単語の1つとして覚えた人と、日頃からニュースを見ていてその言葉を聞き慣れていた人とでは、難易度が大きく違って感じられたはずです。普段からニュースに触れていると、こういうところで差がつくというわけですね。
② 2019年 東大世界史 第1問
東大の世界史の入試問題は、大問1に15行(450字)〜22行(660字)という他大学の入試には類を見ない大論述が課されることで有名です。
そして、2019年の大問1の問題文はこのようなものでした。
問題文では、冷戦の終結による政治的・軍事的緊張の緩和を背景に、世界がより平和になることを期待されていたものの、実際には各地で政治的混乱や紛争が発生したことに言及されています。特に、かつてオスマン帝国が支配していた領域では……と、話題はオスマン帝国の話に移っていきます。
肝心の出題内容は、「18世紀半ばから1920年代までのオスマン帝国の解体過程について、帝国内の民族運動や帝国の維持を目指す動きに注目しつつ、記述しなさい。」というものです。
オスマン帝国は、トルコ系民族の王朝であり、アジア、アフリカ、ヨーロッパに広大な領土を持っていました。しかし、18世紀以降は帝国内の民族運動が活発化し、それがオスマン帝国の弱体化に繋がってしまいました。
アラビア半島では、イスラム教の中でも特に原理主義的な勢力がワッハーブ王国を建国します。アラブ地域でも民族運動が起こり、第一次大戦でこれを利用しようとしたイギリスはアラブ人の独立国家建設を約束しましたが、一方でユダヤ人にも「民族的郷土」をパレスチナに建設すると約束し、これが現在まで続く火種となっています。
また、第一次世界大戦後には、クルド人自治区の建設案もありましたが、トルコが批准を拒否したため実現せず、現在までクルド人は固有の国家を持たない状態にあります。
イスラム原理主義、ユダヤ人、クルド人。いずれも、昨今のニュースでよく聞く名前ではないでしょうか?
この問題が出題された2019年当時、イスラム系の過激派組織によるテロ行為が国際的に問題視されていました。
この記事に関連するニュース
-
大学入学共通テスト初実施の「情報Ⅰ」は簡単だった? プロの目から見た試験内容とは
47NEWS / 2025年2月2日 9時30分
-
共通テスト「ニュースがわかれば一発」の中身 冤罪事件や、インバウンドなど…様々な話題
東洋経済オンライン / 2025年1月26日 7時50分
-
東大生語る「受験の攻略」に"ニュース"は不可欠だ 論点が分かると、様々な時事ネタが理解できる
東洋経済オンライン / 2025年1月24日 7時10分
-
「最後に逆転合格できる人」「できない人」決定的差 「合格する」と確信する人に共通する特徴とは?
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分
-
諦めるな受験生「実は1月こそ成績が伸びる」根拠 E判定から逆転合格は可能!ただしNG行為も
東洋経済オンライン / 2025年1月12日 11時0分
ランキング
-
1「パズドラ」ガンホー、株主がかみついた"高額報酬" 業績・株価低迷の一方、社長報酬は任天堂に匹敵
東洋経済オンライン / 2025年2月7日 7時30分
-
2「トランプ関税」発動なら原油価格はどうなるのか 価格高騰か、それとも生産増加で急落か
東洋経済オンライン / 2025年2月7日 10時0分
-
3「顔パス」で現金引き出し…カードもスマホもいらないセブン銀行の顔認証ATMスタート
読売新聞 / 2025年2月6日 17時10分
-
4トランプ関税の脅威、企業と家計に既に影響=カナダ中銀総裁
ロイター / 2025年2月7日 10時25分
-
5平清盛の名前に「の」が入る"意外と深い"理由 意外と知られてない「氏」と「姓」の違いとは
東洋経済オンライン / 2025年2月6日 15時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)