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スシロー「鶴瓶削除→撤回して謝罪」が大失態な訳 とばっちりのクレームに屈した企業と印象づいた

東洋経済オンライン / 2025年2月7日 20時30分

リリース文章では、文春報道を受けた客から「様々なご意見」を受けた後、「所属事務所様を通じて当初の報道に対し書面にてご見解を頂きましたが、状況の全体像が不明確であったため、所属事務所様にお伝えした上で、広告素材の使用を一時見合わせるという判断をいたしました」と経緯を説明し、鶴瓶さんや事務所に「ご迷惑とご心痛をおかけし、深く反省しております」とした。

直後からスシロー公式サイトには、鶴瓶さんの顔写真が掲載されている。

しかしながら、SNS上では批判の声が絶えない。ネットの「炎上ウォッチャー」でもある筆者としては、「スシローが失った信用を取り戻すには、かなりの時間がかかるだろう」と見ている。

「早急な判断」は、ときに延焼を食い止める効果的な策になる。しかし今回は、鶴瓶さんを起用する他のスポンサーが、スシローに追随しなかった。「鶴瓶の麦茶」の愛称で親しまれる、健康ミネラルむぎ茶の伊藤園などは、なにもしていないのに、スシローの対応を受けて、むしろ相対的に好感度がアップしている。

なによりスシローにダメージとなるのは、一連の経緯で「“とばっちり”のクレームに屈した企業」と印象づけてしまったことだ。大企業の判断は、社会的制裁になり得る。起用見合わせによって「鶴瓶さんは『やらかした人間』だ」と印象づけた責任は大きい。

加えての悪手は、消費者に「タレントの使い捨て感」を与えてしまったことだ。鶴瓶さんがスシローに起用されたのは、2023年7月のこと。迷惑客による「しょうゆペロペロ」から半年後にあたり、衛生面でのネガティブイメージ払拭に、一定程度は貢献したものと考えられる。

しかし、起用からわずか1年半で、今回の騒動になってしまった。関係値が浅いのは間違いないが、そこで「即切り」してしまうと、視聴者には「都合がいい時だけ利用する」と感じさせてしまう。

企業とイメージキャラクターは運命共同体だ。悪く言えば「死なばもろとも」でもある。その点でイメージアップした直近の例が、JCBだ。旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.)の性加害問題が話題になっていた2023年9月、当時同社に所属していた二宮和也さんの継続起用を見合わせた。

対応としてはファンを失望させるものだったが、その際に企業として「2010年より13年間、私達と一緒に歩んできた特別な存在」と表現したことで、好印象を与えた。結果的に、起用再開までは約半年を要したが、JCBのポジティブイメージは、そのまま残った。

異例ともいえる、アイリスオーヤマの判断

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