スシロー「鶴瓶削除→撤回して謝罪」が大失態な訳 とばっちりのクレームに屈した企業と印象づいた
東洋経済オンライン / 2025年2月7日 20時30分
こうした前例を振り返ると、視聴者や消費者は「タレントは企業イメージを背負うのに、企業はタレントのイメージを背負わない」ことに、潜在的な違和感を覚えているのではないかと感じる。
その点で、異例とも言えるのが、アイリスオーヤマの判断だ。2025年1月、吉沢亮さんが酔って、自宅マンションの隣家に侵入したと報じられるも、その約1週間後に「吉沢亮さんのタレント契約 継続決定のお知らせ」を打ち出して、大きな注目を集めた。
発表文では顧客や関係者に「多大なるご心配をおかけしております」と謝罪しつつも、吉沢さんの「卓越した表現力と幅広い支持層」からなる存在感が、ブランド価値向上に貢献したと評価し、「吉沢亮さんの今後の挑戦を応援し、共に頑張っていきたいという当社の決意」として継続を決めたと明かした。
企業とイメージキャラクターの関係は、多くの場合、対等ではなく、どこか上下関係を感じさせるものだ。タレントが「やらかし」ても、企業が起用責任を負うというアイリスオーヤマの覚悟は、従来の商慣習とは異なる印象を与えた。
ましてや、鶴瓶さんの今回のケースは、本人がやらかしたワケではない。両者を対比すると、その差はさらに際立って見える。
消費者はタレントと広告主の関係性を重視している
消費者は商品とともに、ストーリーを買っている。「誰々がCMしていたから買ってみよう」という購買行動は、まさにタレントによる付加価値があってこそだ。
互いに想起させる関係性を築いたタレントと企業は強い。武田鉄矢さんといえば「マルちゃん(東洋水産)」だし、高橋英樹さんといえば「越後製菓」だ。約1年前に亡くなった中尾彬さんは、いまも「買取 福ちゃん」の公式サイトで笑っている。
企業側が思っている以上に、消費者はイメージキャラクターと広告主の関係性を重視している。その点、まだスシローと鶴瓶さんは、1年半という短さもあって「ニコイチ」の印象が薄い。そんな段階で、安易に切り捨てるように見えてしまう行動に出たことで、消費者は非情さを感じたのではないだろうか。
禍根を残しかねないスシローが、今後とるべき対応
今回は起用再開によって、ひとまずの解決を見た。しかし発表文で、所属事務所による当初の説明では納得できなかったかのような言い回しをしたことは、後に禍根が残りかねないと考えている。
どのような「客のご意見」や「事務所のご見解」があったとしても、最終的に判断するのは企業自身だ。どこか他責的な表現に感じさせてしまうと、もし今後、別のイメージキャラクターを起用しようとしても、「大事なタレントを任せられない」と事務所側が反発する可能性があるだろう。
だからこそスシローは、鶴瓶さんに何がなんでも残ってもらえるように、厚遇しないといけない。
たとえば、生涯、いや企業・ブランドが残る限り、「永久イメージキャラクター」と位置づけるなどはいかがだろうか? そうすれば、鶴瓶さんも「ええやん、スシロー。」と笑って許してくれることだろうし、消費者からの印象を回復するはずだ。
城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー
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