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「インフラ更新が心配」な街ランキング・南関東編 更新費用が2倍以上に膨らむ自治体は全体の4割

東洋経済オンライン / 2025年2月8日 7時45分

今回は、南関東(東京、神奈川、千葉、埼玉)の自治体(145市区)を対象に、この増減率を算出し、最新のランキングを作成した。対象となるインフラは次の4区分だ。

・ 公共施設:庁舎、公立学校、公民館などの建築物(いわゆる「ハコモノ」)
・ インフラ:道路、橋梁、公園などの公共インフラ
・ 上水施設:上水処理施設
・ 下水施設:下水(汚水・雨水)処理施設

これらのインフラについて、直近で各自治体が支出している更新費用と、将来に必要とされる更新費用とを比較。将来の人口推計も反映して、「1人当たりの更新費用の増減率」を算出した。このスコアが大きいほど、将来の更新費用の負担が大きくなることを意味する。

8割強の自治体が将来の更新費用を負担しきれない?

結論から言おう。現在の費用ですべてのインフラを更新できる自治体は極めて少ない。比較可能な138市区のうち、増減率が0%以下、つまり将来の更新費用が現在の更新費用を上回らない自治体は23市区(16.7%)にとどまる。8割強の市区が将来の更新費用を負担しきれない可能性がある、ということだ。

さらに驚きなのは、増減率が100%以上、つまり将来の更新費用が現在の2倍以上に膨らむと試算される自治体は53市区だった点。実に全体の約4割を占める結果となった。

なお、大半の自治体では、劣化の進む前に修繕する予防保全を導入したり、大規模修繕により耐用年数を延ばしたりする「長寿命化対策」によって、コストを削減する方針を掲げている。上記の数字は、その長寿命化対策を反映していない(耐用年数経過時に単純更新したものと想定)。

ただし、その長寿命化対策を反映したとしても、なお約7割の自治体が現在の更新費用をオーバーする計算となる。

机上の数字だけでは実態は見えにくい。今回のランキングで、増減率のスコアがとりわけ高くなった自治体にフォーカスして、個別の管理計画を見てみよう。

①神奈川県海老名市(増減率:1241.2%)

相鉄線や小田急線の駅のほか、東名高速道路の海老名サービスエリアを有し、東京都心や横浜方面への通勤者のベッドタウンとして発展してきた海老名市。海老名駅東口では土地区画整理事業が進行中で、さらなる発展のポテンシャルを秘めている。

同市の「海老名市公共施設再編(適正化)計画」(2024年2月改訂)によると、現在のインフラの維持・管理(修繕)にかけている予算は年間約4.6億円。それに対して、同市が2023年から2062年までの40年間で再試算を行ったところ、公共施設全体にかかる将来費用の総額は2456億円(年平均61.4億円)となった。この「4.6億円」と「61.4億円」を、人口動態を加味して割り出した増減率は「1241.2%」と、今回の対象自治体の中で最大となった。

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