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「インフラ更新が心配」な街ランキング・南関東編 更新費用が2倍以上に膨らむ自治体は全体の4割

東洋経済オンライン / 2025年2月8日 7時45分

最後に、今回の道路陥没事故が発生した八潮市の管理計画についても見てみよう。

③埼玉県八潮市(増減率:▲22.1%)

一昔前までは鉄道駅がなく「陸の孤島」とも揶揄されていた八潮市。ところが、2005年の「つくばエクスプレス」開通によって東京・秋葉原まで17分で行けるようになり、一躍人気エリアとなった。埼玉県内では数少ない人口増加自治体でもある。

同市の取り組みで目を引くのが、管理計画に先立ち、2015年に「八潮市公共施設マネジメント白書」を公表したことだ。同白書においてインフラなどの運営実態や利用実態、維持・管理にかかる費用などを整理したうえで、同年には今後の公共施設の維持・管理・整備に関する基本的な方針として「八潮市公共施設マネジメント基本方針」を策定している。

この「マネジメント白書」「基本方針」を基に、翌2016年に「八潮市公共施設マネジメント基本計画」を策定しており、公共施設の維持管理のあり方について段階的に検討のプロセスを踏んでいる姿勢がうかがえる。

同計画によると、直近の更新費用が年間50.0億円なのに対して、将来の更新費用は同42.2億円。今回の調査では数少ない「増減率マイナス」となっている。

今回の道路陥没との関連の可能性がある下水道管の維持管理についてはどうだろうか。同計画では、汚水管の維持管理の経費として年間の更新費用を3.2億円と試算している。一方で「令和6年度八潮市下水道会計予算書」を見ると、汚水管の耐震補修などの経費として計上しているのは1億3630万円。このギャップが気になるところだ。

居住自治体の管理計画を見てみよう

今回は、南関東の145市区を対象に「1人当たりの更新費用の増減率」を算出し、一部の自治体の管理計画を見てきた。強調したいのは、更新費用の増減率はあくまで「目安」にすぎないということだ。

そもそも所管するインフラは自治体によって異なる。例えば、東京特別区は道路や上下水道を所管していない。したがって、一概に比較はできない。それに、将来見込まれる更新費用の積算根拠・方法も自治体ごとに異なる。その点では、海老名市のように数字が高く出たほうが、かえって信頼度は高いという見方もできるだろう。

また、5年前の同様の試算では、増減率が0%以下の自治体は8市区にとどまった。今回は23市区に増えているので、その点ではインフラの更新に必要な予算を確保しておくことの重要性に対する認識が広がったことの証左といえるのではないか。

大事なのは、今回の事故を機に、居住している自治体のインフラの管理方針や計画に関心を持つことだ。管理計画に実際に目を通してみるのはもちろん、興味のある方は計画に示されている更新費用が予算措置されているか、予算書をあたってみるのもよいだろう。

東京都の1位は小金井市

神奈川県の1位は海老名市

千葉県の1位は袖ケ浦市

埼玉県の1位は東松山市

堀尾 大悟:ライター

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