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「人類より豚にふさわしい」と言われた嗜好品 教養として知りたい「カカオの知られざる歴史」

東洋経済オンライン / 2025年2月8日 14時0分

カカオの価値を物語る象徴的なエピソードがあります。それは、カカオ豆自体が貨幣として使われていたことです。

マヤ文明やアステカ文明では、カカオ豆そのものがお金でした。カカオ豆は食材だけではなく、物々交換や支払いのための手段でもあったのです。
そんなお金になるものを、毎日すりつぶして飲む人がいたらギョッとすると思いますが、かつての王様は、実際にカカオ豆を飲み物にして毎日飲んでいたと伝えられています。貨幣でありながら、それを味わえるという贅沢さが、彼らの特別な地位を物語っています。

貨幣としてのカカオの価値については、1545年頃の記録によると、  

熟れたアボカド1個 = カカオ豆1粒  

七面鳥の卵1個   = カカオ豆3粒  

野兎        = カカオ豆100粒  

雄の七面鳥     = カカオ豆200粒

とされています。当時の食生活も、垣間見えますね。

カカオ豆が貨幣になった理由は、硬くて割れにくく、扱いやすかったからでもあるようです。現代の私たちは、かつて貨幣だったカカオを日常的に味わえるのですから、まるで古代の王様のようですね。

カカオとコロンブスの意外な関係

このように、カカオは南米から中南米のメキシコで育ちました。では、どうして海を越えてヨーロッパに渡り、チョコレートになったのでしょうか? 

ここで大航海時代の有名な探検家、あのクリストファー・コロンブスにまつわる話をしましょう。

クリストファー・コロンブスとカカオには、じつは意外な関係性があります。彼は、ヨーロッパ人で初めてカカオ豆に出会った人物とされているのです。

ときは1502年、スペイン人がアステカ帝国を征服する前のこと。コロンブスは、4回目(最後)の航海に出たときに、ホンジュラス沖のグアナハ島で、マヤ人が乗った大きな交易船に遭遇しました。

船には、根菜やトウモロコシ、そして「アーモンド」と当時は考えられていたものが積まれていました。このときのことを、コロンブスの息子のフェルナンドは『提督クリストバル・コロンブスの歴史』のなかで、こう書いています。

(船の中には)根菜類や穀物、トウモロコシ、たくさんのアーモンドがあった。アーモンドは、非常に高価なものらしかった。こぼれ落ちると、人々はまるで目玉でも落としたかのように、大慌てでしゃがんで拾っていた。

じつはこの「アーモンド」こそが、カカオ豆だったのです。しかし、コロンブス自身はこの「アーモンド(カカオ豆)」にはあまり関心を持たず、それ以上深く掘り下げることはありませんでした。

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