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御上先生"ただの学園モノじゃない"圧巻の見応え これまでの学園ドラマとは一線を画している

東洋経済オンライン / 2025年2月8日 13時30分

これらに共通するのが、明確なスクールカーストによる生徒の区分けがあり、毎回それぞれの生徒たちの間でさまざまな問題が起きながらも、彼ら一人ひとりに寄り添う熱血教師によって、生徒たちがひとつにまとまっていく、明るくポジティブで前向きなドラマであることだ。

一方で、近年増えているのが、謎解きサスペンス要素をメインに据えたシリアス系の学園ドラマ。『3年A組―今から皆さんは、人質です―』や『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(ともに日本テレビ系)などは、本格的なサスペンスストーリーのなかで、毎話生徒たち個人の人間ドラマがフィーチャーされる。

そこでは、毎話の教師と生徒の1対1の芝居対決が見せ場となり、爪痕を残した生徒役俳優はそこから売れっ子になっていく。若手俳優の登竜門としての学園ドラマの役割は引き続き担っていた。

そんな学園ドラマのフォーマットをリビルドしようとしているのが本作だ。第3話までのなかでは、従来のように1話ごとに主役の生徒が代わるのではなく、複雑に絡み合うさまざまな要素のシークエンスのなかで、それぞれのキャラクターの立ち位置と役割が、事件のサスペンス要素と平行して描かれた。

ただ、そのなかでも生徒役の俳優たちの好演は光っている。ドラマの構造は変わっても、スターを生み出す装置としての役割は引き継がれているのかもしれない。

そんな本作の特徴は社会性の高さだ。

学校教育の現場を映しつつも、それを取り巻く官僚組織や学校運営における、子どもたちをないがしろにした大人の事情による不寛容で理不尽な社会を、物語の主軸に置いている。社会問題に切り込むシリアスな社会派ドラマの側面が強いのだ。

本作がテーマにするのは、社会を変えるための闘いだろう。それを高校生たちを通して描くことで、状況や立場は違っても同じような局面に立つ大人たちに、客観的な視点を投げかける。

父親が新聞記者であり、高校の報道部の部長でジャーナリスト志望の神崎拓斗(奥平大兼)は、高校の学校新聞で教師同士の不倫を暴き、彼の信じる社会正義を遂行する。しかし、御上が現れたことで、自分のしたことの意味とそこから先に起こったことを考えるようになる。

そして、起こった事象の裏側を推し量り、そこにある真実を求めるようになる。もし間違いがあればその責任は自分にあり、それを正す義務があることを自覚する。

そんな高校生の姿は、根拠のない無責任な匿名の発言や、悪意が渦巻くSNSの発信者、一方的な記事が人の人生を変える強力な力を持つ社会正義となった週刊誌報道へのアンチテーゼであり、それらの情報を鵜呑みにして疑わない世間への警鐘ではないだろうか。

視聴者に客観的な視点を投げかける

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