日産・ホンダ「統合破談」で迎える三菱自の分岐点 単独路線の限界を認識、三菱グループに決定権
東洋経済オンライン / 2025年2月8日 8時0分
このため、日産が株式の27%を持つ現在の形で、2社の経営統合に「参画・関与」する方向で検討が進んでいた。が、結果的に検討は無駄になった。今後の焦点は日産の傘下のままでいつづけるか、別のパートナーを探す道を選ぶかだ。
北米と中国という2大市場で苦戦する日産は経営が揺らいでいる。当面は自主再建を目指すと見られるが、いずれにしろ大規模なリストラは不可避だ。資金繰りは厳しく、保有する三菱自株を手放す可能性は決して低くはない。
急遽決まった加藤社長の会見参加
三菱自にはホンダも秋波を送る。あるホンダ幹部が「スケールはないが、我々が持っていないアイテムを持っている」と関心があることを隠さない。「ホンダの狙いは日産ではなくもともとウチではないか」と語る三菱自幹部もいる。
「加藤社長も会見に出席してください」
複数の関係者によると、ホンダと日産が経営統合協議を発表した昨年12月23日の記者会見、当初の予定では三菱自の加藤隆雄社長は出席しないはずだった。経営統合へ向けた基本合意を結んだ2社と三菱自では置かれた立場は明らかに異なるうえ、海外出張も入っていたからだ。
しかし、海外出張は直前にキャンセルされ、会見のひな壇に加藤社長も並んだ。「(ホンダの)三部(敏宏)社長の強い意向が働いたようだ」という。
ホンダと日産では商品や得意地域の重なりが多いのに対し、ホンダと三菱自では補完関係が成立する。ホンダの存在感が薄い東南アジア市場ではスリーダイヤのブランド力が根強い。
環境性と利便性で需要が広がりつつあるプラグインハイブリッド車(PHV)でもホンダが得意としていないのに対し、三菱自は旗艦車種「アウトランダーPHEV」を軸に競争力のある商品をそろえる。北米や新興国で人気のピックアップトラックもホンダが持たない製品領域を三菱自は持っている。
ホンダから見れば、アフターサービスやエネルギー領域で強みを持つ三菱商事の存在も三菱自の魅力の1つだ。
もっとも、客観的な三菱自の実力は決して高くない。販売台数80万台強で、日本の乗用車メーカーとして最下位だ。
業績にも陰りがみられる。2月3日には2025年3月期の営業利益見通しを35%下方修正した。主力の東南アジアや北米など幅広い地域で販売が下振れするほか、販売費用が期初計画よりも約200億円近く膨れ上がることが原因だ。
営業利益率の見通しは4.5%と、前期比で2.3ポイント悪化する。三菱自は2026年3月期の営業利益率を7%とする中期経営計画目標を掲げているが、「当初想定されていなかったマイナス要因が大きく影響している」(加藤社長)として達成が難しくなっているという認識を示した。
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