「不正トラベル」がインバウンド宿泊の裏に潜む 旅行システム会社「tripla」幹部が明かす被害実態
東洋経済オンライン / 2025年2月9日 7時30分
2024年の訪日外国人の数は3686万人と、2019年を上回り過去最高を記録した。人気観光地のホテルでは客室単価が急上昇している。一方、インバウンド需要の裏で宿泊業界では、ある詐欺行為の被害が増えている。それは「不正トラベル」だ。
【データをみる】カード不正利用被害額の大半が「番号の盗用」による被害
東証グロース市場に上場し宿泊管理システムを提供するtripla(トリプラ)も、不正トラベルの被害に遭った一社だ。同社は国内をはじめ、東南アジアなどでホテルなどの宿泊施設向けに、宿泊予約エンジンやチャットボットサービスなどを提供している。
「インバウンド客が戻ってきた2023年夏ごろから不正トラベルの被害も増え始めた」
トリプラで営業部門を管轄する奥林正浩執行役員はそう語る。2024年には不正トラベルによって3000万円の被害を受けたという。同年のトリプラの純利益は2億円程度。被害額はその15%程度に相当するため、同社からすると看過できない。
日本人名義のクレカで直前に予約
不正トラベルの代表的な手口はこうだ。
まず宿泊日の2〜3日前、ホテルのHPなどから宿泊予約が入り、日本人名義のクレジットカードで事前決済が行われる。しかし当日、宿泊に来るのは日本語をしゃべることができない外国人だ。インバウンド客だとすると、宿を確保するのがあまりに直前に感じる。
その外国人が宿泊しチェックアウトして数日後。予約サイトや宿泊施設などに連絡がくる。「宿泊者はカードを不正利用して予約・決済をしている」と伝えられるが、後の祭りだ。
巧妙なのは予約・決済のタイミングにある。予約を直前に入れてくるため、カード会社側がカードの不正利用に気づいて宿泊施設などに通知したときは、すでにチェックアウトしてしまっていることが多い。
不正トラベルは組織的にビジネス化されており、暗躍しているのが「不正トラベルエージェンシー」だ。クレジットカードを不正利用して取った宿泊予約を転売して稼いでいる。業界関係者によれば、不正トラベルを利用する宿泊者は「圧倒的に中国をはじめとした中華系が多い」という。
不正トラベルの被害に遭った場合、カード会社に対し不正利用の証明作業が必要となる。トリプラでは宿泊施設に宿泊者情報を提供してもらい、不正利用されたカードを発行しているクレジットカード会社に加盟店管理会社を通じてデータを提出する。
金銭的な被害に加え人手も奪われる
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