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「渋谷→新大久保」若者の街が変遷した本質理由 街全体で「韓国のテーマパーク」への変貌を遂げた

東洋経済オンライン / 2025年2月9日 8時30分

実は、「ニセコ化」において、「そこで働く人」の問題はけっこう、大きなポイントだ。

ディズニーランドにおいて、キャストたちが「夢と魔法の王国」という物語の世界を徹底的に演じるように、「ニセコ化」においても、そこで働く人々が空間全体の「選択と集中」を高めていく。

韓国人留学生たちが働くことによって、新大久保における「韓国のテーマパーク」の雰囲気作りはばっちりだ。さまざまな要素が揃って、新大久保は「ニセコ化」し、「若者(ただし、ある限られた若者タイプ)の街」となったのである。

日本中で起こっている「選択と集中によるテーマパーク化」

このように見ていくと、新大久保も、まさに「ニセコ化」といえる状況が起きていることがわかる。

それらの街では、さまざまな手法によって、客層が「選択」され、そして、その「選択」された人々に「集中」するような開発が行われている。ニセコの場合は、これがかなり意図的に行われているだろうが、新大久保の場合は、その街としての条件によって、ニセコよりも自然にその状況が生まれている。

しかし、その両方の地域ともが、賑わいを見せていることを考えると、こうした「ニセコ化」は、現代において賑わいのある空間の一つの条件だともいえる気がしてくるのだ。

本書のタイトル『ニセコ化するニッポン』を最初に見たときに、本書の主張が、「日本のありとあらゆる場所がインバウンド観光客に支配されつつある」というものだと思った人もいるかもしれない。それは一部正解だが、不十分である。

ニセコ化するニッポンで、どう生きていくべきか?

この記事を読まれた方は、この言葉の意味がわかると思う。「ニセコ化」とは、インバウンドのみならず、「若者」や、あるいはもっとセグメント化された「韓流ファン」のような人にとって「選択」された場所のことを示すのであり、そこでは国籍は関係ない。

ただ、「選択された人」と「されなかった人」がいる。

その点で、同じ日本人の中でも、「選択」されるタイプの人とそうではない人がいる。本書の主張は、日本のあらゆる場所が意識的にせよ、無意識的にせよ、このような「選択と集中」を行う方向に進んでいるということだ。その顕著な例がニセコであり、新大久保であり、渋谷なのだ。

では、こうした「ニセコ化」は「街」だけで起こっていることなのだろうか。答えは、否、だ。それは、私たちの身近にある商業施設にも大きな影響を及ぼしている。

というより、近年の商業施設を見ていると、実はこの「ニセコ化」にうまく乗れているか、乗れていないかで、その施設の成否がわかるとさえ、私は思っている。

【もっと読む】黒門市場「インバウンド肉串」へのモヤモヤの正体 金のない日本人の「静かな排除」が拡大している では、インバウンド好況の中で排除される日本人の"ジレンマ"について、都市ジャーナリストの谷頭和希氏が詳細に解説している。

谷頭 和希:都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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