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ロシアがなんだかんだでしぶとさ保つ最大の武器 それは陸軍でも海軍でも、はたまた核兵器でもない

東洋経済オンライン / 2025年2月10日 15時0分

天然資源の輸送を可能にしたのが、当時まだ新しい技術だった鉄道でした。鉄道が内陸まで延びれば、重量のある石炭なども大量に運べるようになります。鉄道がユーラシア制覇を可能にしたとまではいえませんが、マッキンダーの予言はある意味当たっています。

ロシアはパイプラインという新たな陸上輸送手段で、ユーラシア各国にハートランドのエネルギーを供給しているからです。また、マッキンダーは特にドイツがハートランドの資源を欲しがることも予言していました。

天然ガスという武器

今の勢力関係を破壊して、回転軸となる国家に有利な地位を与えることは、やがてユーラシア大陸周辺の諸地域に対するその勢力の膨張を促し、ひいてはまた莫大な大陸の資源をその艦隊の建設に役立てさせる結果にもなる。

もし万が一ドイツとロシアとが合体したら、たちまちこの可能性が現実化する恐れがある……たとえ現在のロシアに代わって新しい勢力が内陸の一帯を支配する地位に立ったとしても、同地域の回転軸としての地理的な重要性が持つ意味は少しも変わらない。

ロシアは天然ガスを「政治的な武器」として用いてきました。端的にいえば、ロシアに従順であれば価格を安く、反抗的であれば価格を高くしてきたのです。

例えば2004年、ウクライナで反露派の政権が誕生したとき、ロシアは翌年からウクライナ向け天然ガスの価格を1000平方メートルあたり44ドルから232ドルに、一気に上げました。

また、2006年にはウクライナへの天然ガス供給を一時停止した結果、ここを通るパイプラインの目的地であるハンガリーで供給量が40%減、フランスとイタリアでも25%減になるなど、ヨーロッパ全体に大きな悪影響を与えました(ロシアとウクライナのガス紛争には、ウクライナ側の料金不払い、無断ガス抜き取り、汚職なども大きな原因の1つとされています)。このように、ロシアはユーラシア大陸の国々を自らに依存させ、「反抗すれば天然ガスを値上げするぞ」と脅すのです。

ガス漬けになったドイツ

しかし、一連のロシアの行動に対して多くの国が不信感を抱く中で、ドイツだけはロシアにより接近しました。2005年にはロシアとドイツを直通するパイプライン計画「ノルドストリーム」に調印。ところが、これに対して国内外では猛反発が巻き起こりました。当時のポーランドの外相は、この計画が「1939年のドイツとソ連によるポーランド分割に匹敵する愚策である」と批判しました。

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