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細るパナソニック「聖域解体」で狙う最高益の意義 間接部門で早期退職、家電開発は中国へシフト

東洋経済オンライン / 2025年2月10日 8時0分

パナソニックにとってテレビ事業は祖業にも等しい重みがある。写真は2007年4月の「ビエラ」製品発表会(撮影:尾形文繁)

「私自身がテレビ事業を実際にやってきたことからすると、センチメンタルな部分はなきにしもあらずだ」

2月4日、急きょ発表されたグループ経営改革説明会に登壇したパナソニック ホールディングスの楠見雄規社長は、テレビ事業を2025年度末までに撤退か事業売却を検討する「課題事業」の1つに指定したことについて問われ、こう答えた。

「聖域」テレビ事業から撤退か

これまで楠見社長は「テレビ事業は白字を目指す」と説明してきた。白字とは、黒字でも赤字でもないという意味。今後、成長する可能性が乏しいにもかかわらず、事業からの撤退や売却を検討してこなかったのは、全国各地に点在するパナソニックの専門店(パナソニックショップ)の存在が大きい。

家電量販店とは異なり、専門店では一部の例外を除いてパナソニックの製品だけを扱っている。

その中でもテレビは主力の商品で「テレビの買い替えを機に顧客の家に行き、それ以外の家電の買い替えにつながるケースが多い」(関係者)。

専門店にとって「ビエラ」がなくなることの意味は計り知れない。それだけに、テレビ事業はこれまで業績不振に陥るたびに経営改革を行ってきたパナソニックにとっては手が出せない”聖域”だった。

パナソニックは巨額の投資と失敗を経て、2014年にプラズマテレビの生産を終了。2016年にはテレビ向け液晶パネルの生産も終了した。現在は一部の上位モデルを除いて生産を中国のテレビ大手TCLなどに委託しているが、「ビエラ」の看板は下ろしていない。

楠見社長はテレビを中心としたAV機器事業の出身。デジタル放送の開始に合わせて、リモコンの「dボタン」で利用できるデータ放送の開発に奔走した経験もある。プラズマからの撤退を現場で指揮したのも楠見社長だ。

パナソニックが1952年の白黒テレビ発売から手がけてきたテレビは、多くの経営幹部やパナソニックOBにとって思い入れのある事業。それでも大ナタを振るうことを決意した。

「パナソニック株式会社」を解散へ

経営改革の中身は、大きくわけて3つある。1つ目は、低収益事業は撤退か売却を主眼として検討すること。2つ目が、家電などを手がける「パナソニック株式会社」を解散し事業再建を進めること。そして3つ目は、エネルギーや供給網管理などのソリューション事業に注力することだ。

「パナソニックは過去30年間成長していない」(楠見社長)。これら3つの改革で、2024年度との比較で2026年度までに約1500億円の収益改善を見込む。

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