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「異例ずくめ」石破首相の日米首脳会談の舞台裏 トランプ大統領による石破首相への"配慮"

東洋経済オンライン / 2025年2月10日 18時35分

そこで、今回の石破首相の訪米を振り返ると、「過去に例のない異例ずくめの日米首脳会談」(政治ジャーナリスト)だったことが浮き彫りになる。首相動静などを踏まえると、石破首相の訪米日程は1泊3日で、現地滞在時間が約24時間なのに対し、フライトが約25時間という「弾丸出張」。「窮屈な国会日程が原因」(自民国対)とはいえ、「全く時間的余裕がない訪米を余儀なくされた」(官邸筋)ことは否定しようがない。

その一方で、石破首相は事前に国会日程の合間を縫って、秘書官や外務・防衛担当者らとの「訪米勉強会」を繰り返し、“対トランプ戦略”を練り上げて日米首脳会談に臨んだのも事実だ。

今回のホワイトハウスでの日米首脳会談がスタートしたのは現地時間7日正午前(日本時間8日午前2時前)。多くのメディアの見守る中、両首脳は「(石破首相は)安倍昭恵夫人から素晴らしい人だと聞いている」(トランプ大統領)、「大統領選で銃撃された写真は、歴史的な写真」(石破氏)という、まずは互いに褒め合い、笑顔での握手で親密さをアピールした。

事前に予定されていた会談時間は「30分間」(官邸筋)で、これまでの例に倣えば、「冒頭2,3分がカメラ撮りとしてメディアに公開されるはずだった」(同)が、この日ばかりは両首脳がカメラの前で会話を続行。その中で、「日本の対米投資額は世界一だ」と語りかける石破氏に対し、トランプ大統領は「投資は素晴らしいが、貿易赤字は解消しなくてはいけない」とくぎを刺したが、石破氏は「いすゞ(自動車)が新たにアメリカで工場を作る」と切り返した。

本来、こうした具体的なやり取りは非公開というのが外交常識で、あわてた日本側同席者は「メディアを外に出して」とスタッフに指示したが、トランプ大統領はお構いなしに会話を続け、見守るメディアの質問にまで答える形で、「(日本への関税は)選択肢としてある」などと踏み込んだ発言まで披露した。

同席者らによると、メディア公開での両首脳の会話は「20分超」で、「首脳会談の大半が公開という異例中の異例の事態」(日本側同行筋)。同行した外務省幹部は「いすゞ(自動車)の話などは、本来はカメラが出たあとに話す予定だったが、石破首相も仕方なくカメラ前での表明になった」と苦笑するばかりだった。

「トランプ主導」の共同記者会見でも石破首相に“配慮”

さらに、こうした「異例」は首脳会談だけでなく共同記者会見でも続いた。両首脳の共同会見では、冒頭部分でそれぞれの首脳が、それぞれの国のメディアを指名するのが慣行。しかし、この日、記者の「指名権」は司会であるトランプ大統領の手に全て委ねられ、トランプ大統領が指名したのはほとんどがアメリカメディアで、日本メディアが指名されたのはわずか2社だけだった。

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