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トランプ大統領は仮想通貨にとって天使か悪魔か 「トランプ関税」の余波で史上最大の売りを招く

東洋経済オンライン / 2025年2月11日 11時30分

仮想通貨への影響力も大きいトランプ大統領。トランプ大統領をモチーフとした仮想通貨も発行されている(写真:Jonathan Raa/NurPhoto via Getty Images)

ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)市場が揺れている。

【チャートを見る】トランプ大統領とメラニア夫人をモチーフとした仮想通貨は乱高下

2月3日、ビットコイン現物市場で大量の売りが出た。デリバティブ市場では買いポジションが次々に強制ロスカットで手仕舞いされたとみられる。その金額は仮想通貨市場において史上最大の約3.5兆円に上ったとされる。

ビットコインの価格は一時、前日比で6%マイナスの1430万円に、イーサリアムの価格は同24%マイナスの34万円と急落した。

下落のトリガーとなったのは「トランプ関税」だ。アメリカのトランプ大統領は2月1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国に10%の追加関税を課す大統領令に署名した。

メキシコとカナダに課すと表明していた関税は現地の3日夕方に発動を延期することにしたが、その日は日本株を筆頭にアジア主要国の株価が大きく下がった。

高率の関税は輸入物価の上昇を通じインフレを起こす要因になりうる。大統領令は、株式や仮想通貨の投資家にインフレ退治のための金利上昇を想起させ売りに走らせたと考えられる。

市場の期待を下回った大統領令

2025年1月に発足した第2次トランプ政権は、仮想通貨に友好的だとみられている。トランプ大統領は選挙戦中に「クリプト(仮想通貨)大統領になる」と宣言、アメリカ政府による「ビットコインの戦略備蓄構想」を打ち出していたからだ。

これらの期待で1月20日の大統領就任式直前には、ビットコイン価格が史上最高値となる1ビットコイン(BTC)=1700万円を突破した。トランプ大統領は就任後、立て続けに大統領令に署名していく。1月23日には、仮想通貨などデジタル金融技術の強化に関する大統領令に署名した。

しかし、その内容は市場の期待を下回るものだった。さらにトランプ陣営が発行した仮想通貨をめぐる混乱が前後に起こった。はたしてトランプ大統領は、仮想通貨にとって「天使」なのか「悪魔」なのか。

まずは市場が高い期待を抱いて待っていた大統領令の概要をみてみよう。大統領令には以下の2点が含まれている。

1点目は「ステーブルコインを含むデジタル資産に関する連邦規制の枠組みを半年以内に策定し、『戦略的国家デジタル資産備蓄』の創設を評価すること」。

事前に期待されていたのは「ビットコインの備蓄」だった。ところがステーブルコイン(ドルなどの法定通貨と価値が連動する)など、ほかの仮想通貨も含む案となった。また「半年以内に」「評価する」という曖昧な表現が用いられたことも失望感を与えた。

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