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「立喰鮨かきだ」が渋谷駅前に出店する"賭け" 修業ゼロで寿司握り人気店を実現した蛎田社長

東洋経済オンライン / 2025年2月12日 12時0分

しかし同氏によれば「目標に達していない」という。どういうことなのだろうか?

理由はコストパフォーマンスの高さにある。同店ではできる限り品質の高いネタを使っており、原価は50%に上っているという。利益を出すためには原価を30%に抑えるというのが業界の常識のため、原価50%で儲けを出そうと思えば、普通の1.5倍、売り上げなければならない。つまり坪あたり平均60万円というところだろう。

確かにそれならば、40万〜80万円の同店は合格ラインではあるが大成功とはいえないかもしれない。

なお、「最強おまかせセット」は、もともとはトロやウニが入って10貫3000円の「最強おまかせ10貫」の量を増やし、セットにしたもの。絶妙なバランス調整のもと、高コスパが実現したという。

トロやウニなどはネタの品質が味に出やすいため、できるだけよいものを使う。一方、アナゴ、つぶ貝などは冷凍のものだ。蛎田氏にしてみれば「できれば使いたくない」食材だが、客には評判がいい。やわらかく、小骨のあたりが出にくい、臭みが出にくいなど、冷凍食材ならではの特徴があるためだそうだ。

コシヒカリ、ササニシキなどを合わせ、赤酢を使ったシャリは甘さ控えめに仕上げてある。その代わり、ネタのうま味を引き出す特製の出汁醤油を客の好みでつけてもらう。

「仕上げの握り」だけ人間が行う

また、回転寿司などで使われている寿司ロボットを使うが、仕上げの握りは職人が行う。長年の勘がなくても同量のシャリを握ることができるわけだ。職人は経験者が2割程度だが、未経験でも握りはすぐにできるようになるという。

「寿司は修行が必要といわれるが、それは100点を目指した場合。100点が老舗の有名店だとすれば、自分がビジネスとして目指しているのは70点を合格ラインとした店だ」と自らの店を分析する蛎田氏。

実は氏が運営するユニポテンシャルは人材サービスなどを主事業とし、自身ももともとは飲食の門外漢。しかし、その素人が、コロナ禍に始めた「有楽町かきだ」を成功させた。

2022年7月、海鮮丼の店としてスタート、1週間で握りを始め、翌年1月に千駄ヶ谷に2店舗目をオープンした。さらにその7月、小田急ホテルセンチュリーサザンタワー19階に、160坪・140席の大規模店としてリニューアルオープンしている。

鮨おかわり自由、飲み放題が最強コスパとして有名になったが、その形態や価格設定は当初から変動しており、現時点では一番人気の鮨おかわり自由のコースが1万2000円(飲み放題は別途3000円)。それでも、平均して日に約100名の客が入るという。単純計算で月商3600万円だ。場所柄、インバウンド客も多い。

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