中国発のTemuやSHEINに「トランプ関税」の試練 米政府、小口輸入品の免税特例から中国を除外
東洋経済オンライン / 2025年2月12日 18時0分
アメリカのドナルド・トランプ大統領は2月1日、中国からの輸入品に10%の追加関税をかける大統領令に署名した。と同時に、これまで非課税だった輸入申告額800ドル(約12万4000円)以下の小口貨物も追加関税の対象に含めたことが波紋を呼んでいる。
【写真】SHEINなどの越境EC企業は小口貨物の免税特例を利用して対米輸出を急拡大させてきた。
この大統領令に基づき、アメリカ税関・国境警備局(CBP)は2月3日、中国(香港を含む)からの輸入品に対して2月4日から「デミニミス(非課税基準額)ルール」の適用を停止すると発表した。
デミニミスルールとは、一定額以下の小口貨物への関税を免除し、輸入申告も簡素化する特例措置のことだ。その本来の目的は通関手続きにかかる政府の負担軽減にあり、アメリカでは2016年に基準額が200ドル(約3万1000円)から800ドルに引き上げられた。
越境EC拡大で貨物数が激増
CBPの発表によれば、2月4日以降にアメリカに到着または輸入申告を行う中国製品は、800ドル以下の小口貨物でも10%の関税と関連費用を支払わなければならない。さらに、申告手続きも(より複雑な)正規の手順を踏む必要がある。
今回の大統領令の背景には、激安越境EC(電子商取引)の「Temu(テム)」や低価格アパレルの「SHEIN(シーイン)」に代表される中国の越境EC企業が、デミニミスルールを利用して急成長したことがある。
その結果、中国からアメリカに向かう小口貨物が数年前から激増。CBPによれば、デミニミスルールが適用された貨物は2015年には1億3900万個だったが、2024年には13億個を超えた。
アメリカ議会では、TemuやSHEINなどの中国企業が特例措置を「抜け穴」に使い、アメリカの関税と(厳格な)通関検査を回避していると非難する声が、以前から絶えなかった。
それに応じる形で、アメリカ政府もデミニミスルールの修正を重ねてきた。直近では1月11日、CBPはアメリカ国内の同一人物が複数の異なる(越境EC)業者から商品を購入し、同じ日に到着または輸入申告した貨物の総額が800ドルを超えた場合、通関情報処理システムが検知して(貨物の受取人に)警告する新規定を導入した。
「市場規模においても利益率においても、アメリカは世界最良のマーケットだ」。財新記者の取材に応じた中国の越境EC業界のベテラン関係者は、そう率直に話す。
コストアップに不安の声
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