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「どうして『出雲駅』ではなく『出雲市駅』なの?」 市駅じゃヘン? 違和感の根本理由

乗りものニュース / 2024年9月5日 18時12分

出雲市駅(青田 海撮影)。

出雲大社のアクセス駅となっている島根県の出雲市駅ですが、駅には「なぜ“出雲”駅ではないのか」という疑問が寄せられているようです。「市」がつく駅は他にもありますが、なぜ違和感があるのでしょうか。

出雲市駅に寄せられている“疑問”への回答

 島根県出雲市は、出雲大社をはじめ「縁結びのまち」としてさまざまな観光名所を有する市です。その中心駅である山陰本線の出雲市駅で、とある張り紙を発見しました。

「どうして出雲駅ではなく、出雲市駅なんですか??」との疑問と、それに対する回答が綴られているものです。なぜ、「出雲駅」ではなく「出雲“市”駅」になったのでしょうか。

 出雲市駅のように「市」がつけられている駅は各地に存在します。その多くは「〇〇駅」が先に名付けられ、後からできた駅に「〇〇市駅」と名付けられるなど、差別化が図られています。

 例えば大阪府にあるJR京都線(東海道本線)の高槻駅と、阪急京都線の高槻市駅、栃木県のJR両毛線の足利駅と、東武伊勢崎線の足利市駅が挙げられ、どちらも「高槻町駅」「足利町駅」から市駅に改称されています。

 また離れた地域であっても、千葉県の野田市駅(東武アーバンパークライン)と、大阪市の野田駅(JR大阪環状線、阪神本線)などが見られ、「市」駅は私鉄につけられていることが多いといえます。

 これに対し、出雲市駅はあっても、「出雲駅」はありません。「出雲市」駅にはどんな由来があるのでしょうか。

 現在の出雲市駅ができたのは、1910(明治43年)のこと。当時の所在地は簸川郡(ひかわぐん)今市町で、「出雲今市駅」を名乗りました。2年後には、当駅から出雲大社により近い「大社駅」までを結ぶ「大社線」が開業していますが、出雲大社(大社線)への乗り換え口の意味で、地名の「今市」に「出雲」を冠したといいます。

 その後、戦前に出雲市が成立し、1957(昭和32)年4月、駅名を「出雲市駅」に改称。このとき「出雲駅」にしなかった理由について、張り紙には「出雲大社への最寄駅と誤解されないように」と記載されています。

「出雲大社への駅」のすったもんだ

 しかし1990年に大社線は廃止に。さらに2005年には大社町が出雲市へ合併されました。JR線で出雲大社の最寄り駅だった大社駅がなくなり、さらに大社町もなくなったことで、「出雲市」駅と区別して呼ぶ必要性がなくなっていることが、違和感の理由かもしれません。

 ただ、大社線の廃止後、出雲大社の名を冠する駅をどうするかという問題で、白羽の矢が立った駅が別にあります。それが出雲市駅の2駅西にある「出雲神西」駅です。

 同駅は1982年に「神西」駅として開業し、1993年から1999年まで「出雲大社口」駅を名乗りました。市は出雲大社への路線バスなどを開設するつもりでしたが、もともと利用者が少なく断念。降り立った観光客の苦情が相次いだことから、結局、“出雲”をつけて元の駅名に戻されました。費用をかけて実施した駅改称がムダになったという経緯があるのです。

 ちなみに、2024年夏は、甲子園に島根県代表として出場した出雲市の「大社高校」が93年ぶりにベスト8に進んだことで大きな話題となりました。出雲市駅の近くには出雲高校がありますが、大社高校は旧大社町に位置し、「大社」の地名を今に伝える存在のひとつともいえます。

 なお、出雲大社の最寄り駅は、一畑電鉄の出雲大社前駅です。旧大社駅よりも出雲大社の近くにあります。

※一部修正しました(9/5 19:20)

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