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屈指の「ロングノーズ新幹線」500系のスゴさとは?尖っているのは鼻だけじゃない!カリスマ的人気を誇る異端車の経歴を振り返る

乗りものニュース / 2024年9月30日 7時12分

500系電車(画像:写真AC)。

新幹線の500系電車が、2027年をめどに引退する予定です。日本初の300km/h営業運転を実現させ、「のぞみ」として活躍した一方で、現在は一味違ったユニークな運用もされています。その振れ幅の大きい「とがった」個性を振り返ります。

日本初の300km/h運転を実現

 2024年7月、山陽新幹線「こだま」で活躍する500系電車が2027年をめどに引退するとの発表がありました。500系は元々16両編成で「のぞみ」向けに誕生し、日本初の300km/h営業運転を実現させた立て役者でもあるのです。

 500系の誕生以前、山陽新幹線は航空機にシェアを奪われており、高速化が必須でした。しかし、騒音問題という大きな壁をはじめ、乗り心地など様々な課題が立ちはだかっていました。

 これらをクリアするため、JR西日本は高速試験車両の「WIN350」を開発し、試験を積み重ねました。そして山陽新幹線での300km/h運転にめどが立ったことから、500系が設計・開発されたのです。

 500系には、東海道・山陽新幹線のほかの車両にはない、独自の特徴が多く見られました。興味深いものをいくつか挙げてみます。

・「ロングノーズ」と呼ばれる先頭部
 車両の先頭部、いわゆる「鼻」の長さは15mにもおよび、当時の「のぞみ」に充当されていた300系の約2.5倍にもなります。このロングノーズは、高速でトンネルに突入した際、押し出される空気で発生する大きな音、いわゆる「トンネルドン」の対策によるもので、カワセミにヒントを得ています。

・先頭部の一部座席に荷物置き
 ロングノーズにより先頭車の客室内天井高さが一部低くなり、荷物棚が狭くなることから中央のC席部分に荷物置きを設置しました。

・円形断面の車体
 丸い車体形状は航空機を連想させ、客室窓も曲面ガラスが採用されています。

・パンタグラフはフクロウがヒント
 500系に搭載されたT形パンタグラフは、側面にギザギザ状の突起を設けることで騒音を低減しています。これはフクロウの羽にヒントを得たものです。

・300km/h走行時に案内表示
 デッキ部とのドア上にある案内表示器に、「ただいまの速度は300km/hです」の表示が日本語・英語で流れました。

・ギネスに認定
 山陽新幹線での表定速度242.5km/h、広島~小倉間の平均速度261.8km/hは、当時の世界最速でギネスに認定されました。

スターの個性が皮肉にも…

 それまでの新幹線のイメージを覆すような500系の外観は、世間からも大きな注目を集めました。1997(平成9)年3月22日のダイヤ改正で、山陽新幹線の「のぞみ」としてデビュー、そして11月29日には東海道新幹線への乗り入れも始まり、東京~博多間を最速4時間49分で結んだのです。

 東京6時00分発の1番列車、博多行き「のぞみ1号」に充当されていたのも、その存在を特別なものにしていたと言えるでしょう。

 東海道・山陽新幹線のスター的存在となった500系新幹線でしたが、2008(平成20)年12月からは8両化のうえ山陽新幹線の「こだま」にも充当されます。そしてデビューから13年を迎える直前の2010(平成22)年2月末で「のぞみ」から引退しました。

 高密度で大量輸送を行う交通機関に成長した東海道新幹線では、使う車両の共通化は命題でもありました。例えばダイヤが乱れた際などに、車両の座席やドアの位置・数が同じであれば、すぐに他の列車に使えます。しかし、500系はこれらを満たせず、その個性が皮肉にも「のぞみ」引退への大きな要因となったのでした。

 現在、500系は山陽新幹線内の「こだま」に充当されており、「のぞみ」時代とは一味違った活躍が人気を集めています。

 8号車の先頭部には「お子様運転台」を設置して、ファミリー層も楽しめる空間が作られています。また、6編成あるうちのV2編成はこれまで「カンセンジャー」「プラレールカー」「500 TYPE EVA」としてコラボし、現在は「ハローキティ新幹線」での運行を続けています。

 初の300km/h走行でビジネス需要を中心に支え、現在は各駅停車の「こだま」としてローカル運用に専念する500系。デビュー当時には考えられなかった活躍の振れ幅も、個性あふれる500系ならではと言えるのかもしれません。

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