岡本圭人、岡本健一と2度目の親子共演への思い 「成長した姿を見せられたら」【インタビュー】
エンタメOVO / 2024年3月27日 8時0分
もちろんすごくつらいお話ですし、悲劇的でもあるのですが、こうした舞台を届けることで同じような悲劇が起こらないようにという思いも込められている作品だと僕は思います。それに、きっとこの作品以外で父親と共演する機会はなかなかないと思います。もしかしたらこれが最後かもしれない。なので、僕自身は再演を望んでいました。この作品を経験したことで、自分自身と役を切り離すことが大事だということを学びましたし、この作品で初舞台を踏んだ後にもたくさんの経験をさせていただいたので、成長した姿を見せられたらいいなと思っています。
-健一さんと親子という役柄を演じてどんなことを感じましたか。
実は、「Le Fils 息子」の初演のときに、壁にぶつかったことがあったんですよ。僕はニコラを演じていて、父親はピエールを演じているけれども、普段の自分と父親は役とはまた別の人物。そうした中で役を演じていくうちに、どっちが本当の父親か分からなくなってしまう瞬間がありました。父親なのに父親じゃないと、頭がこんがらがってしまって。それで、演出のラディスラス・ショラーに相談したところ、「演出をする立場からはあなたたちを本当の親子としては見ていない。それぞれを一人の役者として見ている。だから、圭人も父親として見るのではなく、役者としてピエールを見るべきだ。(劇中にいるのは)ニコラであって圭人ではない。ピエールは健一じゃないんだから」と言われ、スッキリしました。自分は自分、ニコラはニコラと切り離すことができたんです。その役を生きることが自分の仕事なのだからそれに集中しようと。それが(稽古が始まって)最初の1、2週目くらいです。その時までは、本当の親子が親子を演じる難しさは感じていました。
-その大きな壁を乗り越えてからは、スムーズに?
スムーズだったわけではないですよ(苦笑)。自分にはまだできないところも多かったですから。一番、印象に残っているのは、演出家のショラーから「ニコラのお腹の中にある黒いダークホール、闇を感じないとこの役を演じることができない」と言われたことです。「それがないとこの舞台は絶対に失敗する。ただの家族の話になってしまう。そうした闇を抱えて、それでも一生懸命生きている。だから、そういう苦しさや黒い闇を見つけてほしい」と言われて、そこが苦労したところでした。「なぜこうなってしまったんだろう。なぜニコラはこう思うんだろう。なぜこういうせりふを言うんだろう」と、自分の芝居一つ一つを振り返って作り上げていきました。
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