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「これは江戸時代のアイヌの話ではなく、今に通じる話だということです」寛一郎、緒形直人『シサム』【インタビュー】

エンタメOVO / 2024年9月12日 15時50分

-緒形さんが演じた大川は孝二郎の師範ですが、後に相反する立場になりますね。

緒形 まだ半人前の孝二郎に対して、大川はある種父親のような存在で、これは孝二郎の成長物語だと思うんです。半人前だった彼が、たくさんのことを経験していく中で、自分の答えを見つけていくわけですよね。大川はどちらかというと、現場の声も分かるけど藩への忠誠心が大きい人なので、孝二郎の側にはなれない。しかし孝二郎の本質というか、彼の目を見て、彼の経験したことを、彼の言いたいことを理解した上で、彼の方につくという意味合いだと思いました。おまえの言っていることは分かったぞみたいな。彼を信じているというのが一番近いかなと思います。

-孝二郎はアイヌに助けられて、彼らの精神性や文化に共鳴していくわけですけど、例えば、インディアンと白人との関係性を描いた『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)と重なるところがあると思いました。

緒形 もちろん歴史的に見ても、アイヌと和人だけではなく、大きな国が小さな国の領土を取り、言語を奪うというのはいろんな国がやっていることです。それが今なお続いている中で、これはもちろんアイヌを描いた映画ではあるけれどもそれだけではない。今とつながる、今の僕らが考えなければいけないことを描いた映画だと思います。

-2世俳優の先輩である緒形さんから見た寛一郎さんの印象は。

緒形 まあ彼は3代目ですけど、とても芝居に対して真摯(しんし)だし、目線がいいし、彼独特の雰囲気というか、オーラがあります。もともと生まれ持った華が備わっているので、この先楽しみだなと思います。華が備わっている人と備わっていない人がいる中で、彼は大きく備わっていると思います。

寛一郎 もちろん緒形拳さんのことは知っていますし、緒形(直人)さんとは、おやじ(佐藤浩市)のことも(祖父の)三國(連太郎)さんのことも話しましたし、ついこの間、息子さんの緒形敦さんともご一緒しました。何かもう一つの文化というか、伝統芸能ではないところでみんなが能動的に役者をやっているのは不思議な感覚になりますね。

-最後の森の中での戦いで矢が飛び交うところが印象的でしたが、あれはどうやって撮影したのでしょうか。

寛一郎 あの矢は全部CGです。矢が飛び交っているふりをしている(笑)。でもそれは撮影のリアルですから。想像してやるのが僕らの仕事でもありますから。

緒形 あそこはエンターテインメントを盛り込んだというか、監督が「あそこぐらいはちょっと派手にやりたいな」と。そこは映画としてよかったんじゃないかと思います。

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