吉田恵里香氏 憲法第十四条は「人間らしく生きるためのスタートライン」 「虎に翼」脚本家が作品に込めた思い(後編)【インタビュー】
エンタメOVO / 2024年9月15日 12時30分
-在日朝鮮人やトランスジェンダーの役に当事者の俳優が起用されましたが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
私自身は、できるだけ当事者の方に演じてもらえたら…と思っています。「虎に翼」では、主にスタッフの方々がキャスティングを担当してくださったので、うれしく思いながらオンエアを見ていました。
-なるほど。
ただその一方で、当事者の方が演じることで、別の問題が生じる心配もあります。例えば、この配役が絶賛されると、いずれ『性的マイノリティーの役者の方が、マジョリティーであるシスヘテロ(生まれ持った性別と性自認が一致する異性愛者)の役をやってはいけないのか』というような間違った議論・考えなどが生まれうることです。現在の社会を考えれば、当然オープンにしたくない人もいるでしょう。オープンにされていない人とオープンにしている人との差が生まれたり、誤った批判が増えるのでは、という心配もあります。法整備や社会構造が整わないことをエンタメ業界全体で疑問視して異を唱えていかないといけない。採用するだけで終わることは、ただ消費したり搾取したりする構造になりかねません、
-劇中で描かれた在日朝鮮人や性的マイノリティーの受け止め方に関して、視聴者に期待することは?
朝ドラに性的マイノリティーの方や外国の方が出演されることについて、さまざまなご意見があるとは思います。何度も繰り返しますが、彼らは令和に突如生まれたわけではなく当時から当然存在しました。そして差別や偏見を向けられています。だから、描かれることに違和感を抱くのではなく、この問題が70年以上経った今も基本的に変わっていないのはなぜか、思いをはせていただけたらうれしいです。
-次に、終盤の山場となった原爆裁判に対する思いをお聞かせください。
この作品では、戦中よりも戦後を中心にするつもりで、第9週から戦争の傷跡を描いてきました。そのひとつのクライマックスとして、寅子のモデルになった三淵嘉子さんが担当された原爆裁判を扱いたいと考えました。ただ、最初のうちは扱い切れるのか、自分の中でも不安がありました。書き進めていく中で、法律考証の先生方やスタッフの方々など、この作品にかかわる皆さんへの信頼度が高まったことで、正面から扱う覚悟ができました。おかげで、誰でも知っていると思っていた原爆投下が、実は知らないことばかりだったことに気付き、今はやってよかったと思っています。
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