「光る君へ」第四十一回「揺らぎ」絶大な力を得た道長の歩みを正すまひろの存在【大河ドラマコラム】
エンタメOVO / 2024年11月2日 9時31分
NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。10月27日に放送された第四十一回「揺らぎ」では、一条天皇(塩野瑛久)亡き後、絶対的な権力者となった藤原道長(柄本佑)の姿が描かれた。
孫の敦成親王(濱田碧生)を東宮に据え、誰も逆らえないほどの力を得た道長は、三条天皇(木村達成)と権力を巡る駆け引きを繰り広げる。その中で三条天皇は、道長の嫡男・藤原頼通(渡邊圭祐)ではなく、その下の息子・教通(姫子松柾)を側近に取り立てる。
この件に関して、教通から「なぜ兄上ではなく、私なのでございましょう?」と問われた道長は「名誉なことではないか。ありがたく務めよ」と答える。だが、逆に頼通から「なぜ自分ではないのか」と問われると、「帝に取り込まれなかったことを、むしろ喜べ。お前が先頭に立つのは、東宮様が帝になられる時だ」と慰める。さらに、母親の異なる息子・藤原顕信(百瀬朔)から「われわれが公卿になる日はいつなのでございましょうか」と尋ねられると、「そういうことは、帝のお心一つだ。今少し待て」とたしなめる。
こうして息子たちを言葉巧みに操る道長の姿は、かつて道長たちを自分の権力のために利用してきた父・藤原兼家(段田安則)にそっくりだ。中でも、「お前のこともちゃんと考えておる」と言いながら、汚れ仕事ばかりを任せてきた道長の兄・藤原道兼(玉置玲央)の悲劇が強く思い出される。
また、一条天皇の第一皇子・敦康親王(片岡千之助)ではなく、孫の敦成親王を東宮に据えたことをきっかけに生じた道長と娘・彰子(見上愛)の確執も、かつての兼家と道長の姉・藤原詮子(吉田羊)の対立を思い出させるものがある。
では、道長も結局は兼家と同じ道をたどるのか…と考えてみると、一つ大きな違いがある。それが、主人公・まひろ(吉高由里子)の存在だ。まひろから、「道理を飛び越えて、敦成様を東宮に立てられたのは、なぜでございますか。より強い力をお持ちになろうとされたのは」と尋ねられた道長は、次のように答える。
「お前との約束を果たすためだ。やり方が強引だったことは承知しておる。されど俺は常に、お前との約束を胸に生きてきた。今もそうだ。そのことは、お前にだけは伝わっておると、思っておる」
ここで道長が口にした「約束」とは、直秀(毎熊克哉)の死に直面した際、まひろが「道長さまは、偉い人になって、直秀のような理不尽な殺され方をする人が出ないような、よりよき政をする使命があるのよ」と語ったことを指しているのだろう。
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