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【年末年始~エンタメコラム~】時代劇、復権

エンタメOVO / 2024年12月28日 12時0分

「SHOGUN 将軍」(ディズニープラスの「スター」で独占配信中)Courtesy of FX Networks

SHOGUN 将軍」の成功から見えてくるもの

 一時は“絶滅”を危惧されていた時代劇が、復活の兆しを見せている。「SHOGUN 将軍」が、アメリカのテレビ界最大の祭典・エミー賞で18部門を独占し、自主映画の『侍タイムスリッパー』が300館まで拡大公開されるほどの大ヒット。1月には2本の注目作が公開される。

 戦後から1950年代にかけて映画で黄金時代を築いた時代劇は、70~80年代にはテレビドラマの定番ジャンルとなった。それが、今世紀になるとお茶の間からほとんど姿を消してしまっていたが、ここへきて再び脚光を浴び始めた。理由はいくつか考えられるが、最も大きいのは「SHOGUN 将軍」の成功だろう。

 ディズニー傘下のFXが製作した全10話の時代劇で、戦国時代末期が舞台。関ケ原の戦いへと至る歴史をモチーフに、徳川家康をモデルにした武将・吉井虎永、日本に漂着した英国人航海士・按針、細川ガラシャを思わせる通訳・鞠子らの運命が交錯する。キリスト教の新旧派対立を盛り込むことで西洋人にもなじみやすい構成になっているとはいえ、セリフの約7割は日本語。1月5日に発表されるゴールデン・グローブ賞でも、作品賞、主演男優賞(真田広之)、主演女優賞(アンナ・サワイ)、助演男優賞(浅野忠信)の4部門にノミネートされている。

 これほどの成功をもたらしたのは、プロデューサーを兼ねた真田広之の熱意にある。『ラスト サムライ』(03年)への出演を契機にハリウッドへ活動の拠点を移した真田は、日本を正しく伝えることにこだわり、「SHOGUN 将軍」では時代劇に精通した日本人スタッフを多く起用した。だからエミー賞でも歴代最多となる9人の日本人が受賞を果たしている。日本人が見ても違和感のない戦国時代が再現されているのは、そのためだ。

 この作品は、ディズニープラスで日本を含め世界中に配信されている。この“配信”という公開スタイルも時代劇の復活を後押しする一因だろう。時代劇が母国語に自動翻訳されて世界中で広く見られるようになったことで、日本のエンタメ・ジャンルから世界のエンタメ・ジャンルへと格上げされたのだ。かつては黒澤明の『七人の侍』がアメリカで『荒野の七人』という西部劇に翻訳されて公開されたが、これからは時代劇のままでいいことになる。イタリアでマカロニ・ウエスタンが作られたように。「SHOGUN 将軍」が、それを証明してくれた。

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