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出店の屋台、各店メニューが1つだけなのはなぜ?

ウェザーニュース / 2020年1月3日 5時0分

ウェザーニュース

焼きそば、今川焼き、ベビーカステラ、バナナチョコレート、じゃがバター、おでん、綿あめ……、初詣客でにぎわう参道や境内に並ぶ屋台はさまざまな調理食品を提供できますが、1軒の屋台が提供するのは1品だけです。もっとメニューを揃えてくれたらいいと思うのですが、屋台ならではのオキテがありました。

1つの屋台で扱える食品は1品目だけ

縁日や祭礼などで出店して食品を提供する屋台は、食品衛生法に定められている臨時営業の許可が必要です。営業許可を取得するには、保健所に営業許可を申請して、施設基準に合った施設で衛生的な食品を提供するためのオキテが定められています。

たとえば、1つの店で扱える食品は1品目というオキテです。品目が増えると衛生管理に手が回らない恐れがあるからです。焼きそばとイカ焼きの2品目を提供することはNGで、あくまで食品は単品提供なのです。

ただし、食品に加えて飲料は提供できます。飲料はコーヒーや紅茶などから1品目ですが、開栓・開缶を行うだけならビールやジュースなど複数提供できます(小分け・コップに注ぐ行為は不可)。

調理する食品は提供直前に加熱する

屋台は鉄板などで加熱するアツアツの食品が多いのですが、これは「提供する食品は客への提供直前に加熱を行ってください」という保健所の指導の結果です。ただし、かき氷、ところてん、ジュースなどの飲み物は例外的に加熱せず提供できます。

また、屋台でキャベツを刻むなど仕込み作業はできません。これも原材料のカットや焼き鳥の串刺しなど「仕込み行為は調理室等の衛生的な場所で当日行ってください」という保健所の指導があるからです。

生クリーム、寿司・刺身もNG

屋台のクレープは生クリームを使っていなかったり、握り寿司や刺身を提供する屋台がないことに気づいた人はいませんか。これも「生もの(さしみ、すし)、生クリーム、生野菜の提供はしないでください」と保健所が指導しているからです。

調理する際も、「爪は短く切り、マニキュアはつけないでください」「指輪、時計などは外してください」「食品に直接触れないように使い捨て手袋を着用してください」「調理をする人は、お金の受け渡しをしないでください」などが指導されています。

こうした保健所の指導は、食中毒予防のためです。過去には、クレープ生地を前日に自宅で焼いて常温で保管したため黄色ブドウ球菌で食中毒、手洗いを十分に行わず、もちを素手で加工してノロウイルスで食中毒といった事例があったからです。

なお、簡易テントの屋台ではなく、しっかりした構造のテント、冷蔵・冷凍設備、給水・排水・洗浄設備など特別な設備を備えた大型屋台の場合は、カレーライス、ソバ・ラーメン、スパゲティ、焼肉、酒類など複数の食品を提供できます。

連れ立って初詣に行くときは、「屋台が食品を1品目しか提供しない理由は…」などとウンチクを披露してはどうでしょうか。

参考資料など

食品衛生の窓「臨時営業・臨時出店等」(東京都福祉保健局)、「行事に出店し食品を提供される皆様へ」(足立区足立保健所生活衛生課)

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