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スイセンはナルシスト!? 代表的な冬の花「ツバキ」と「スイセン」の意外な話

ウェザーニュース / 2020年1月30日 6時0分

ウェザーニュース

今年は暖冬といわれますが、とはいいつつも、やはり冬。日によっては、思わず身震いするほど寒いですね。そんな寒い中にあっても、けなげに(!?)咲いている花もあります。冬に見ごろを迎える花のうち、スイセンとツバキを紹介しましょう。

スイセンはうぬぼれていた!?

スイセンは漢字では「水仙」と書きます。水仙は中国から来た言葉です。「仙人は、天にあるものは天仙、地にあるものは地仙、水にあるものは水仙(である)」という中国の古典に由来しています。

スイセンの仲間は約30種類あります。学名は「ナルキッソス」で、これはギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスに由来します。

美少年だったナルキッソスは、池の水面に映る自分の姿にしばしば見とれていました。そんなナルキッソスを戒めようと、女神ネメシスは彼をスイセンに変えてしまいました。この話はナルシスト(ナルシシスト)の語源にもなりました。そのため、スイセンの花言葉は「うぬぼれ」や「自己愛」になっています。

スイセンは水辺をのぞき込むように咲くともいわれます。その様子はナルキッソスが水面に映る自分の姿を見ている様子を思わせますね。

首がポトリと落ちるツバキ

ツバキは漢字では「椿」などと書きます。ツバキの名前の由来は、艶のある葉である「艶葉木(つやはき)」からの転、葉が厚い「厚葉木(あつばき)」からの転など、いろいろな説があります。

ツバキに似た花にサザンカがあります。見分ける方法の一つは、花の落ち方(散り方)。花が首からポトリと落ちるのがツバキ、花びらがパラパラと散るのがサザンカです。首がポトリと落ちる様子が斬首を思わせることもあり、江戸時代などには忌避する人もいたといいます。

ツバキは古代から日本人に愛されていた

それでも、万葉の時代から江戸時代、そして現代に至るまでツバキに心奪われる人は大勢います。

《わが門(かど)の 片山椿(かたやまつばき) まこと汝(なれ) わが手触れなな 土に落ちもかも》

これは『万葉集』に収められた、物部廣足(もののべのひろたり)という人の歌です。

「私の家の門のところに咲く片山椿よ、本当にきみは、私が触れていないのに、土に落ちてしまうのか」といった意味で、「片山」は「かたわらの山」「小山」などと考えられます。物部廣足は防人(さきもり)として九州に赴いているときに、この歌を詠んだようです。家の門の近くに咲く椿と自分が愛する人とを重ねたのでしょう。

タレント、俳優、画家などとして活躍している片岡鶴太郎さんもツバキに心奪われた一人です。ツバキを見て感動して、そこから「花を描きたい」「絵を描きたい」と思うようになったと、自身の著書に書いたり、インタビューで答えたりしています。

寒い中、慌ただしい日々を送っている人が多いでしょうが、公園などに立ち寄ると、寒風の中、凜(りん)と咲くスイセンやツバキに出合えるかもしれません。きっとパワーや安らぎをもらえるでしょう。

参考資料など

『散歩で見かける 草木花の雑学図鑑』(金田洋一郎、実業之日本社)、『色と形で見わけ 散歩を楽しむ花図鑑』(監修/小池安比古、著/大地佳子、写真/亀田龍吉)、『想いを贈る 花言葉』(監修/国吉 純、ナツメ社)、『花言葉・花事典』(編者/フルール・フルール、池田書店)、東京都公園協会HP(https://www.tokyo-park.or.jp/profile/)、『50代から本気で遊べば人生は愉しくなる』(片岡鶴太郎、SBクリエイティブ)

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