ネオワイズ彗星が肉眼で見える明るさに 「北半球では近年にない明るい彗星」
ウェザーニュース / 2020年7月12日 19時0分
薄明の空に尾を引く“ほうき星”、ネオワイズ彗星が見ごろを迎えています。
日本から見える彗星としては近年にない明るさとなっていて、観測条件の良い場所からはその姿が肉眼で見えるほどになっています。双眼鏡を使うと長く伸びた尾もよく視認できます。
この写真は北海道のウェザーニュースユーザーが7月10日(金)の明け方に撮影したものです。朝焼けを背景に然別火山群の上に昇るネオワイズ彗星は、空が明るくなっていて目視はギリギリだったとのことです。
今月が明るさのピーク 明け方の空に注目
ネオワイズ彗星は今年3月に発見された彗星で、7月頃に明るくなるのではないかと予想されていました。今月はじめに太陽に最も近づき、そこで崩壊せず生き残って、実際に明るい姿を見せることになりました。
日の出前の北東の空に昇ってくる様子を、双眼鏡などを使って見ると良さそうです。
なよろ市立天文台きたすばるの村上恭彦台長によると、彗星の明るさはこの先徐々に低下する予想ではあるものの、明け方に高く昇っている月がだんだんと細くなることで、これから数日は比較的見やすい姿が期待出来るとのことです。
彗星の位置は移動するため、東京などでは明け方に観測が出来るのは今月中頃までとなる見込みです。
中旬以降は夕方の空に注目
7月中旬以降は日没後の北西の空に沈みゆくネオワイズ彗星を見ることが出来るようになります。北寄りの空に出現する北海道では、既に夕方にも観測され始めていて、東京などでももう間もなく夕方に観測可能な時期となる見込みです。
日没後のネオワイズ彗星の高さは、日程が後になるほど高い位置となって観測しやすくなるものの、明るさはだんだんと落ちて見付けづらくなる予想です。
また北海道など北の地域では、あと数日後には「周極彗星」と呼ばれる状況になり、夜中に北の空の低いところを通過することで彗星が一晩中沈まない様子を観測出来るとのことです。
彗星と見間違いやすい現象
日の入り前後の西の空には、彗星のような白く光る線状のものが見えることがあります。これらは夕陽に照らされた飛行機雲であることが多いようです。
彗星の場合は日没後数十分経った後に見え始めます。動く速度は太陽などの沈む速さとほとんど同じため、数分で位置を変えて見えなくなるようであれば、それは雲かもしれません。
「三度目の正直」
村上台長によると、現在のネオワイズ彗星の明るさは2等台とかなり明るく、北半球から見える彗星としては近年にない明るさになっているとのこと。
ここ10年程度の間には、太陽に近づいて消滅した2013年のアイソン彗星のように、かなり明るくなると期待されながら実現に至らなかったことが度々ありました。
今年もアトラス彗星やスワン彗星が期待されたように明るくならず、「二度あることは三度あるのでは」と噂されていた中で、見事ネオワイズ彗星は「三度目の正直」を実現させてくれたといいます。
天気はあいにく…
せっかくネオワイズ彗星の見頃となっているものの、北海道や沖縄を除く日本各地は梅雨真っ只中で、低い空までスッキリと晴れる日が少なくなっています。
この先も1週間程度は曇りや雨の日が多い見込みですが、もし早朝や宵の時間に晴れ間が見えたら彗星を探してみてはいかがでしょうか。
国立天文台によると、このネオワイズ彗星が次に太陽に近づくのは5000年以上先とみられます。
写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
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