週刊地震情報 2024.1.7 元日にM7.6、最大震度7 令和6年能登半島地震が発生
ウェザーニュース / 2024年1月7日 10時0分
この1週間で国内で観測された有感地震の回数は、令和6年能登半島地震の発生により、極めて多い水準です。震度3以上の地震は約180回発生しています。
一方で、能登半島周辺以外の地震活動は低調でした。(1月1日~7日10時の集計)
国内:石川県能登地方でM7.6 津波も発生
石川県能登地方の地震
1月1日(月)16時10分頃、石川県能登半島を震源とするマグニチュード7.6、深さ16kmと推定される地震が発生しました。
この地震で石川県志賀町で最大震度7、石川県七尾市、輪島市、珠洲市、穴水町で震度6強、石川県中能登町、能登町、新潟県長岡市で震度6弱を観測。北海道から九州の広範囲で震度1以上の揺れとなっています。気象庁はこの地震について、「令和6年能登半島地震」と名称を定めました。
日本付近の浅い地震でマグニチュード7.5以上は、東日本大震災を引き起こした2011年の一連の活動以来。震度7の揺れを観測する地震は、2018年の「平成30年北海道胆振東部地震」以来となり、国内では7例目です。地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。
震源域が海域を含む浅い地震だったため津波が発生し、気象庁は大津波警報を発表しました。潮位計では1.2m以上の津波を観測し、国土地理院による空中写真の判読では珠洲市を中心に広範囲が津波によって浸水したとみられます。
また、地震による地殻変動で、国土地理院の観測で最大1m以上、場所によってはそれ以上の隆起がありました。気象庁が珠洲市に設置している津波観測点も隆起に伴って観測不能になったことがわかっています。
3年以上、地震活動が続いていた地域
石川県能登地方では2020年12月頃から地震活動が活発になっていました。昨年5月5日にはそれまでで最大規模のマグニチュード6.5、震度6強を観測する地震が起きています。
今回の地震は昨年までの活動域を含んでいますが、その領域は段違いの広さです。2020〜2023年にかけての活動はおおよそ30km四方の範囲内だったのに対し、今回は北東〜南西方向に150km以上の広範囲になっています。
地震のエネルギーで比較してもマグニチュード7.6は6.5の40倍以上となりますので、それだけ大きな破壊が起こったことを示しています。
能登半島の北岸付近では政府の地震調査研究推進本部の評価が行われていない、複数の活断層が確認されていました。これらの断層が一度に活動したことで、大きな地震になったとみられます。
家屋の被害は広範囲に及ぶ
家屋等の被害状況
震度7〜6強の激しい揺れに見舞われた能登半島北部は多数の家屋が倒壊しました。ウェザーニュースが会員向けに行った緊急調査では、被害が甚大な地域からの回答こそ得られなかったものの、家屋などの被害が広範囲に及んでいることがわかりました。
家屋に損壊が出ているのは石川県全域や富山県東部など、震度5強以上の揺れになった地域で目立っています。また、震源域からは少し離れた新潟市など越後平野でも被害が多くなりました。新潟市では液状化現象が発生した所が多く、それによって家屋などに影響が出たと考えられます。
地震によってダメージを受けた家屋は、余震や今後の積雪などで新たに損壊する部分が出てくるおそれがあるため、注意が必要です。
また、ウェザーニュースでは被災地支援のために特設サイトを開設しています。その中では現地からの生の声をリアルタイムで更新中です。
地震活動は活発な状況が続く
マグニチュード7.6の地震が発生してから1週間近くが経過しても、活動は活発な状況が続いています。発生直後に比べると少なくなったとは言え、震度1以上を観測する有感地震は6日(土)も50回を上回る水準です。
マグニチュード4〜5程度の地震は散発的に起きていて、こうした地震が陸域で起きれば、震度5弱〜5強の揺れを伴うことになります。
過去の事例でも、マグニチュード5を超えるような地震は本震からしばらく経過してからも起きているケースがほとんどです。
2016年の熊本地震(M7.3)では5日後に2回発生し、余震回数が非常に多かった2004年の新潟県中越地震(M6.8)のときは18日後、1948年の福井地震(M7.1)では12日後に発生しています。
余震の発生状況は地震ごとに違うため一概には言えないものの、今回はマグニチュード7.6と前述の事例より規模が大きいこともあり、活動が長期間に及んでもおかしくありません。まだしばらくは強い揺れに対する警戒が必要と考えられます。
世界:世界的には規模の大きな地震なし
世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は2回発生しています。いずれも能登半島の活動によるもので、日本以外でマグニチュード6を超える地震はありませんでした。
世界全体で見ると地震の活動はそれほど活発ではなく、強いものでもマグニチュード5.5前後の規模となっています。地震回数が多いインドネシアから南太平洋にかけても、小規模の地震がほとんどです。
この1週間で見た場合、世界的にも能登半島の地震活動が顕著であることがわかります。
出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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