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「昼間」が短い冬こそ要注意!? 骨密度や免疫力の低下を防ぐ日光浴のススメ

ウェザーニュース / 2024年12月22日 13時50分

ウェザーニュース

1年のうちで最も太陽の位置が低くなり、「昼間」が短くなる日が冬至です。今年(2024年)は12月21日。冬は夏に比べて日の出から日の入り(日没)までの時間が短く、気温の低下もあって屋外で日光(太陽光)を浴びる機会はどうしても少なくなりがちです。

ところがヒトの体は、浴びる日光の量が少なすぎると骨密度や免疫力が低下するなどの悪影響が生じることがわかっています。専門家は予防のために、適度な日光浴を推奨しています。

冬は日光によるエネルギー量が夏の半分に

日の出から日の入り(日没)までの日光を浴びることができる時間帯は、冬至と夏至では5時間近い差があります。

2024年の東京都でみると、冬至(12月21日)は日の出が6時47分・日の入りが16時32分で9時間45分。これに対して夏至(6月21日)は日の出が4時26分・日の入りが19時00分で14時間34分です。

日光によって地表が受けるエネルギー量の目安となる「全天日射量」でみても、2023年の東京都で12月が9.5MJ/m2(メガジュール毎平方メートル)、6月が16.3MJ/m2と、冬は夏の半分程度にとどまっているのです。

日光を浴びる量が少ないと、ヒトの体にどのような悪影響が生じるのでしょうか。その理由や適度な日光浴の必要性、冬に気をつけるべき点などについて、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター科長の山口順子先生に解説してもらいました。

適度に日光を浴びないとビタミンD不足に!?

健康のために適度な日光浴が必要といわれるのは、なぜなのでしょうか。

「日光を浴びないと、日光に含まれる紫外線によってヒトの皮膚で生成されるビタミンDの量が少なくなります。

紫外線の浴びすぎはシミやしわ、皮膚がんの原因にもなりますが、適度な日光浴によって生成されたビタミンDは、骨の生育に必要となるカルシウムの血中濃度を高めたり、免疫作用を高めたりする働きをします。

厚生労働省の指標では、成人が健康な生活を送るためには1日あたり最低5.5μg(マイクログラム=100万分の1g)、上限50μgを摂取することが必要とされています。

仮に5.5μgのビタミンDを日光浴だけで得ようとすると、晴れた日に顔と両手を露出した状態として、紫外線が弱い12月の正午の場合、東京に比較的気象条件の似た茨城県つくば市で22分24秒、7月の3分30秒の6倍以上の時間が必要という調査結果があります」(山口先生)

ビタミンDが不足したり欠乏したりすると、どのような症状が現れるのでしょうか。

「ビタミンDが不足すると、低カルシウム血症によって骨や歯が弱くなり、骨粗しょう症や骨折などの原因になります。そのため、特に全天日射量が少ない冬は、ビタミンD生成のために適度な日光浴が推奨されているのです」(山口先生)

「幸せホルモン」セロトニン不足による「冬期うつ」にも注意

ビタミンDの生成以外に、日光浴が健康のためにいいとされる理由はありますか。

「日光に当たると、セロトニンというホルモンが体内で分泌されます。セロトニンは『幸せホルモン』とも呼ばれて精神に大きな影響を与え、不足すると気分の落ち込み、意欲の低下のほか、怒りっぽくなったりもします。

これらの状態が続くと、うつ病を引き起こす可能性もあります。特にこの時季注意が必要なのが、『冬期うつ(ウインター・ブルー)』です。一般にうつ病は食欲減退や不眠を伴うのですが、冬期うつは逆に食欲が増加して過食気味になったり、過眠に陥ったりする傾向があります。

セロトニンはもともと夏に分泌が多く、冬は少ないという性質をもっています。これには昼間の時間の長短と、全天日射量が大きく関係しているのです」(山口先生)

適度な日光浴や食事からの摂取がおすすめ

冬のビタミン不足やセロトニンの分泌不足は、どのように予防すればいいのでしょうか。

「まず、朝起きたらカーテンを開けて、できるだけ日光を浴びるようにしてください。また、関東地方の場合は12時、9時、15時の順で、日光浴による皮膚でのビタミンD合成量が多くなります。より効果が高まる昼や朝になるべく外へ出て、ウォーキングを兼ねた日光浴を積極的に行うようにしましょう。

ただし、先にお話ししたように、日光の浴びすぎは禁物です。アトピー性皮膚炎やじんましんの症状がある方は、紫外線に十分注意する必要があります」(山口先生)

日光浴以外の予防法はありますか。

「食事から効果的にビタミンDを摂取するよう心がけてください。

ビタミンDは、魚やキノコ類、卵などに比較的多く含まれています。特にアンコウの肝やシラス、干しシイタケがおすすめです。60gあたり10㎍以上のビタミンDが含まれている魚にはサケ、サンマ、ヒラメ、ウナギの蒲焼には100gあたり19㎍含まれています。

ただし、ビタミンDは体内に蓄積しやすい物質ですので、特にサプリメントを使用している方は、摂りすぎを控えてください。

セロトニンはトリプトファンというアミノ酸が原料で、肉や魚、豆類や乳製品などに多く含まれています」(山口先生)

冬至を過ぎれば昼間の時間は次第に長くなっていきます。十分な寒さ対策をしたうえで積極的に日光浴や食事からビタミンDとセロトニンの摂取を心がけましょう。


出典・参考
国立環境研究所「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」、環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」、日本成人病予防協会「健康管理検定」、文部科学省「健康なくらしに寄与する光」

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