寒い時季に活躍のコーヒードリッパー 台形型と円錐型で味が変わる!?
ウェザーニュース / 2025年1月13日 5時10分
寒さが募るこの時季、コーヒーがより美味しく感じられます。家庭でも、自宅で手軽に本格的なコーヒーを味わうために欠かせないドリッパーにはさまざまな形状があります。
多く見られるのが台形型と円錐型ですが、それぞれにどんな特徴があってどちらが“オススメ”といえるのかについて、UCCコーヒーアカデミーに解説して頂きました。
ドリッパーはどんな器具?
ドリッパーが「コーヒーを淹(い)れるためのモノ」であることはわかりますが、そもそもどのような器具なのかを説明して頂けますか。
「ドリッパーは、コーヒーの粉を入れたフィルターをセットして固定するための抽出器具です。ドリッパーにペーパーフィルターをセットしてお湯を注ぐと、抽出されたコーヒーが底に開いた穴からサーバーやカップへ落ちる構造です。
ドリッパーの特徴は、内部に『リブ』と呼ばれる溝が刻まれていることです。リブがないと、ペーパーフィルターが空気の通り道となる穴のない内側の面にぺたりと貼り付いて、液体がなかなか下に落ちてくれません。
リブは抽出されたコーヒーの落下を促すために付けられているのです」(UCC)
台形型or円錐型どっちがオススメ?
ドリッパーには台形型と円錐型がありますが、まず台形型はどのような特徴をもっているのでしょうか。
「台形型ドリッパーは『メリタ式』と呼ばれ、一般的な製品といえます。どちらの形のドリッパーも底に穴が開いていますが、台形型のほうが円錐型より小さめです。台形型のリブは間隔が狭く、高さが低いことが特徴です。
そのため、台形型は円錐型に比べてお湯が中に留まりやすく、抽出の際にコーヒーの粉とお湯とが触れ合う時間が比較的長くなります。ドリッパーの中でコーヒーの粉がお湯に浸かっている状態といえるでしょう」(UCC)
そこにどんなメリットがあるのでしょうか。
「お湯を多少速く注いだり遅く注いだりしても、ドリッパーの中に留まっている時間が安定しやすくなるので、味も比較的安定しやすくなります。台形型のドリッパーはコーヒーを抽出しやすい『初心者向き』の器具といえるでしょう。
台形型でも底に穴が3つ開いていて抽出速度が速い『カリタ式』というタイプもあります」(UCC)
円錐型ドリッパーにはどのような特徴がありますか。
「円錐型は『ハリオ式』といい、最近よく見るようになったドリッパーです。横から見ると三角形、上からは円形の円錐状になっていることから円錐型と呼ばれます。
特徴の一つは底の穴がかなり大きいことです。二つめはリブの盛り上がりが高いこと。底穴が大きいので、円錐型ドリッパーにお湯を注いでいくと台形型に比べて抽出されたコーヒーが速く落ちていきます」(UCC)
速く落ちることで味にどんな特徴が生じるのでしょうか。
「リブが高いことで液体の流れ、抜けが早くなるので、抽出されたコーヒーは、すっきりとした味わいになります。
ただし、注ぎ方によって味わいが変わりやすいので、『中級者以上向き』のドリッパーといえるかもしれません。
円錐型ドリッパーは味の幅が出やすく味わいのコントロールがしやすいので、『ご自身が出したい味の表現がしやすい』器具といえます」(UCC)
抽出する際のポイントは?
台形型ドリッパーで抽出する際のポイントから教えてください。
「まず台形型でも円錐型でも抽出の前に、ドリッパーは必ず湯煎(ゆせん)してください。ペーパーフィルターも台形と三角形の物が市販されていますので、それぞれのドリッパーに合った形を選びましょう。ペーパーをセットして適量のコーヒー粉を投入したら、ドリッパーを振って平らに安定させます。
お湯は粉の中心から全体にそっと乗せるように注ぎ、20秒ほどしっかり蒸らします。蒸らした後、粉の中心に小さな円を描くように3回に分けて淹れます。
台形型ドリッパーはお湯がゆっくり落ちていきますので、水位が安定した所でキープするように優しく、お湯を『置く』イメージで注ぐのがポイントです。
およそ2分で抽出は完了します」(UCC)
初心者には難しいかもしれませんが、円錐型のドリッパーでの抽出はどのようにするのでしょうか。
「三角形のペーパーフィルターをセットする際の注意点として、しっかりとドリッパーの内面に密着させることが挙げられます。
円錐型ドリッパーはメーカーによって傾斜角度が異なっていますので、三角形のフィルターペーパーは広めに作られています。ドリッパーの形状に合わせてペーパーを織り込み、密着させてください。密着させないとペーパーが曲がってしまって、抽出ムラが生じてしまいます。
蒸らしまでの工程は台形型と同じですが、お湯を注いだ時の抜け落ちていく速度がとても速くなります。油断していると注いだお湯があっという間に落ち切ってしまうほどですので、注ぎ足しのタイミングには注意が必要です。
抽出完了までは台形型に比べて30秒ほど早くなります」(UCC)
同じ種類のコーヒーでも味が変わる!?
同じ種類のコーヒーをそれぞれのドリッパーで抽出した場合の、味の印象の違いを教えてください。
「台形型ドリッパーで抽出したコーヒーは濃厚な味わいで、ほどよいコクがありながら甘さも残る感じでした。
円錐型は同じコーヒーのはずなのに、爽やかですっきりとした味わいになりました。台形型よりも少し濃度感が柔らかな印象で、酸味寄りの味わいも感じられました」(UCC)
台形型ドリッパーは「クルマに例えるなら初心者向けのAT(オートマチック)車、円錐型は乗り慣れたドライバーがフィーリングに合わせて運転するMT(マニュアルトランスミッション)車の印象」(UCC)だそうです。
台形型から始めてコーヒードリッパーの扱いに慣れたら、円錐型で自分好みの味探しにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
取材協力:UCCコーヒーアカデミー
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