2点リードに数的優位活かせず痛恨ドローの東京V・城福浩監督「本当の意味で出し切らせることができなかった…」
超ワールドサッカー / 2024年4月14日 6時30分
東京ヴェルディの城福浩監督が、土壇場で勝利を逃した東京ダービーを振り返った。
東京Vは、13日に味の素スタジアムで行われた明治安田J1リーグ第8節でFC東京と対戦。
3万1000人以上を集めた16年ぶりのJ1での東京ダービーに臨んだ緑の名門は、前半半ば過ぎの28分にMF見木友哉のPKによるゴールで先制に成功。さらに、33分にはFW染野唯月の見事な右足ダイレクトボレーで追加点を挙げると、前半終了間際にはFW安斎颯馬が2枚目のイエローカードをもらって退場となり、2点リードに加え、数的優位まで得た。
しかし、後半は序盤こそ相手陣内でうまくゲームをコントロールしたが、68分にミス絡みのカウンターから途中出場のMF遠藤渓太に1点を返されると、以降は数的優位を活かせずに防戦一方の展開を強いられる。そして、後半アディショナルタイムの94分に相手のパワープレーから遠藤に左足ミドルシュートを決められ、土壇場で勝ち点3を逃す痛恨の2-2のドローとなった。
「何を目指しているかを示す試合にしたい」と、自分たちらしい戦いで勝利を掴みたいと意気込んで臨んだダービーだったが、10人相手に2点差を追いつかれた結果に加え、プレー内容に関しても後半は腰の引けた印象もあり、ファン・サポーター、指揮官自身にとっても承服しがたいものとなった。
同試合後、公式会見に出席した63歳の指揮官は、「サポーターには悔しい思いをさせました。申し訳ない」と、何とか絞り出した非常に短い言葉で試合を総括した。
2022年6月の就任以降、ハイライン・ハイプレスのハイインテンシティという尖ったスタイルを標ぼうする中、城福監督は“バトンを繋ぐ”、“ゲームチェンジャー”といったキーワードを使い、5枚の交代枠を含めチーム全員がパワーを出し切り、90分を通して高いプレー強度を維持することを求めてきた。
昨シーズンはそのスタイルが機能し、予算規模や選手層で大きく上回るライバルに対して、ポテンシャル以上にチームとしての最大値を出す形で昇格を果たした。
しかし、今季のJ1での舞台ではよりクオリティが高く、選手層の部分でも大きく上回る相手に対して、経験不足や選手層の問題を露呈。とりわけ、選手交代によってパワーダウンした後半終盤の失点によって勝ち点を取りこぼす試合が目立っている。
その点について城福監督は、「自分の指導不足」、「僕の力が未熟」と自身の責任に言及しながらも、J1最年少となるスカッドに対してさらなる成長、どんな状況においてもスタイルを徹底することを改めて求めた。
「このチームはやはり選手層を厚くしていかないといけないということを痛感しています。選手が変わったら、落ち着きがなくなるというような状況を変えていかないと、ゲームの中の終盤でやはり我々がこういった思いをするというのを繰り返していますし、選手層のところで我々は、(前半に負傷交代した)谷口栄斗もどれぐらいのケガかはちょっとわかりませんけど、そこを上げていくのは私の手腕を問われているところかなと思っています」
「未だにあの展開で勝ち点1で終わるというのが、自分のどこを直せばいいか、じっくり考えたいなと。ただ選手は、本当の意味で出し切ったかという意味で出し切らせることが、自分はできなかった」
「(課題のクローズについて)もちろん3点目を取れるチャンスもありましたけど、チーム全体がクローズのイメージを持っていたと思いますけども、あたふたしてしまいました。相手は1人退場しているにもかかわらず、私の指導不足でしょう。あの状況でスローインもゴールキックにして、そこから時間を費やせずに、普段の私の指導不足だなと思っています」
開幕前の段階から厳しい戦いを予想すると共に、J1で最も伸びしろを残す若きチームの「成長」を浮沈のカギとして語ってきた城福監督。
ここまでのチームの成長曲線は思い描いたものではないかもしれないが、この試合でも追加点奪取という開幕からの課題のひとつをクリアするなど半歩ずつではあるものの着実に成長を示していることも確かだ。
誰にとっても承服しがたいダービーでの苦い経験を今後の教訓とすべく、まずは17日に控えるJリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦の鹿児島ユナイテッドFC戦で、指揮官が求める選手層に厚みをもたらす新たな戦力の台頭を期待したいところだ。
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