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だいすけおにいさんの素顔を聞いてきた! 制作者に聞く「おかあさんといっしょ」のヒミツ 後編【 第11回 昔の子ども、今の子ども。】

Woman.excite / 2017年4月25日 5時5分

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「おかあさんといっしょ」インタビュー後編では、うたのおにいさん・おねえさんや人形劇の舞台裏などに迫ります。どんな人が「おにいさん」になるの!? だいすけおにいさんの素顔も含め、ママを代表して取材しました!

前編同様、NHKエデュケーショナル こども幼児部 統括部長・古屋光昭さんと、シニアプロデューサー・平岡ジュンコさん、NHK制作局青少年・教育番組部 チーフプロデューサー・山田淳さんに伺います。



■うたのおにいさん・おねえさんは、とにかくハード!

小野あつこお姉さんと花田ゆういちろうお兄さん


古屋「うたのおにいさんとおねえさんは、芸能人ではありません。昔は芸能人の方もいらしたけれど、今は“芸能人になるんじゃないですよ”っていうのをオーディションでも言い切っています。基本的には、普通の人が当たり前のことを、当たり前にできる感覚、常識を持ち続けられる人。でも、やることはプロの技を求めるんですけどね」



上原りさおねえさんと小林よしひさお兄さん


山田「本当に激務ですよ、希有な人たちです。風邪も引けないですしね」

古屋「スタジオ収録が年間約200回、そこにコンサートや歌の録音…。とくにスタジオ収録は同じ作業の繰り返しになるので、“あなたたちにとっては200回のうちの1回かもしれないけれど、収録に来た子にとっては1分の1なんだから、常に新鮮な気持ちで”っていうのはお願いしていますね。だいすけおにいさんは歴代最長の9年間だから、2000回近く収録したかもしれません」


■だいすけおにいさんの素顔と、卒業発表で届いた温かな声


三谷たくみお姉さんと横山だいすけお兄さん


――だいすけおにいさんの人気はすごいですよね。絶対いい人だって、ママ達はみんな思っています(笑)。

古屋「彼はテレビのまま、本当にいい人ですよ! そういう裏表のない人たちを代々選んできたんです。おにいさん・おねえさんだけで番組ができているわけではなくて、まわりに収録をサポートする制作スタッフや子どものお世話をする“子ども係”の人、技術の人がいるおかげっていうことを、最初に何度も何度も伝えています」

山田「出演者っていうよりはスタッフの一員に近いです。子どもたちをスタジオに誘導する時も、おにいさんとおねえさんが連れて行きますから。彼らはスタジオで待っているわけじゃなくて、自分から出向くんです」

古屋「今回の卒業は、やり切ったからということで本人から申し出があって。発表のときには、視聴者のみなさんの書き込みが本当に温かかったですね」

山田「だいすけおにいさんには、“お世話になりました”っていう気持ちが大きいみたいです。“子育てを手伝ってくれてありがとう”って」

――毎朝、顔を合わせていましたからね(笑)。


古屋「子どもにとっても、お母さんにとっても身近な存在ですよね。それぞれの代、みんな自分のおにいさん、おねえさんがベストって思っている…」

平岡「だいすけおにいさんへの書き込みを見ると、改めて、育児って不安なんだなって思いました。一緒の時間を過ごすって大きいことなんだなって」

古屋「親御さんも一番いろいろ悩む時期ですからね。おにいさんとおねえさんはそういう時を共有するので、親御さんにとってすごく近しい存在なんだと思います。」

――子どもと一対一の育児になりがちな中で、一緒にいてくれる存在という意識が大きいですね。

古屋「『芸能人じゃない』というのは、そういう良さがあると思うんですよね」

山田「やっぱり自分の個性を売るっていうのが芸能人としては重要。でも、この番組で欲しいのはそういう面じゃないんです」

古屋「そうそう。芸能人のオーラみたいなものよりも、信用や信頼、本人の心持ちといったことが重要なんです。よく、うたのおにいさんとおねえさんは信号無視できないとか言われていますが、無茶を言っているのではなく、そもそも交通違反なので子どもにそんな姿を見せられない、そこを納得してもらっています。上から押さえつけて禁止、というのとは違うんです」

――なるほど。そもそも、そこを納得できない人には務まらないということですね。

古屋「そうですね。新しいゆういちろうおにいさんも、非常に良い人ですよ」 


■「パント!」が短時間で子どもを惹き付ける理由
古屋「1981年の “ハイ、ポーズ”から、身体表現のコーナーが始まりました。集団でやる体操に対して、こちらは個のもの。“体操と身体表現”は“動と静”という関係だったんです。最初はヨガや太極拳で、そのあとが新体操やダンス…。現在のパントマイムは、ダンスのように動きが決まっていなくて、おねえさんと子どもで自由な動きができることができないかな?という考えから企画しました。大きな動きは決まっているけど、その通りにやらなきゃいけないわけじゃない。見えない物を表現するという脳の発達と、体の動きを結び付けるコーナーにしたかったんです」

――以前の「ゴッチャ!」が元気なイメージだったので、正直おもしろいのかな?とも思いましたが、息子が真剣に観ている姿に驚きました。

古屋「パントマイムって、本来はステージで30分くらいかけてやるものなんです。例えばロボットだったら、実演の前にロボットの話などの前振りをして、子どもの中にロボットをイメージさせる。普通は脳と心が温まってからやるものなのでなんですが、番組はそれができないので、最初に実物を見せることで少しでも掘り起こしてから始めています」


■大人の常識が通用しない「パント!」の開発
古屋「開発の際には、たくさんの園でテストしました。同じ3歳でも生まれた月でできることが全然違うし、そもそも3歳は経験量にも相当バラつきがある。なので、どこまでのラインなら理解できるのかっていうのがすごく難しかったんです。風船を持つ動作はできても、“風船になってみよう”って言うと“え?”って感じで。大人だと風船の動きから考えて動くとか解釈するけど、3歳児は物の立場になって動くってことはできない。風船を持つことはできる、でも、自分が風船になって飛ぶところまで発展させちゃうとついていけないっていうことが、実際に子ども達を見るとわかるんです」


■カメラワークにこだわる! 人形劇と一般的なドラマの決定的な違いとは?

古屋「人形劇の初代『ブーフーウー』(60年)は、オープニングにネジを巻くシーンがあって、小さな人形たちが動いているというイメージでした。でも、だんだんとキャラクターたちが一緒にエンディングで踊るようになり、子どもたちも慣れてきたこともあって、今のイメージになりました。



左からムームー、ガラピコ、チョロミー/「ガラピコぷ~」より


――通常のドラマとの違いはありますか?

古屋「一番の違いは、幼児に理解しやすい画面構成(カット割り)にしていることですね。ドラマでは2つの映像を繋いで、何かそこに意味を持たせるといった手法もあるけれど、そういうことはやってない。大人向けのものだと、カメラも固定じゃないんですよ。だけど人形劇は、基本的にカメラ位置は変わらないんです」

――劇場で観ているのと同じ感覚ということですね。

山田「そう、人形“劇”なんです」

古屋「それは2歳研の時に、カメラ位置が変わる、つまり視点が変わるということに、子どもはついていけないことがわかったんです。あとは、全身のほうがキャラクターがかわいく見えるということもあって、基本的に引きのサイズで撮影しています。人間じゃないから、いくらアップになっても表情があるわけじゃないので。時々アップは入るけれど、同じ位置からのアップだけですね」

――人形劇が守り続けていることはありますか?

古屋「今放送している『ガラピコぷ~』は12代目ですが、人形劇がテーマとしてずっと扱っているのは“他者を知る”ということ。“自分と違う、だけど自分と同じ”という普遍的なことを伝え続けています。それは多様性とか、個性を認めるっていうことだと思うけど、人形劇のテーマはほとんどそれです。それが時代によって設定やセットが変わったりしている。今回は宇宙が舞台で、ロボットが出てくるけど、普遍的なテーマは変わっていないと思います。」


■「おかあさんといっしょ」は、飽きずに食べられる白いごはん


古屋「番組制作のすべてにおいて言えるのは、いいものを丁寧に真摯に作っていくということ。僕が入社したときに先輩から言われた例え話ですが、“100万円あったら、1万円でできるアニメを100本作るのではなくて、1本100万円かけて何度も見ていられるいいものを作りなさい”と。開発に半年~1年かかっても、いいものができれば長年使っていけますからね。何かの記録ではなくて、記憶に残る番組なんだと思っています。

逆に言うと注意しなければならないのは、飽きてしまうとダメなんです。作る側も日常になっていくので、飽きが来ないように毎回新鮮な気持ちでやっていかないと、だんだん崩れてしまう。あとは、“子どものもの=こういうもの”っていう既成概念から離れること。新しいことを入れても飲み込んでくれる、非常に懐の深い番組なんです」

山田「本当にそうですね。この番組だからこそ、やったことのないコーナーにもどんどんチャレンジできますから」

古屋「相手に伝えたいことがあるときには、相手を知ることが一番大事。まだ理解力の育っていない子どもにも最大限伝わるよう努力すべきだし、どうしたら伝わるか工夫するべきだと思います。でも、なんだかんだいってこの番組の制作は楽しいです。毎回の収録もそうだし、コンサートもそうだけど、自分が作ったものを喜んでくれている姿を間近に見られるのは、やっぱり嬉しいです」

――お話を聞いて、もっと感謝して観なくちゃいけないなって思いました(笑)。

古屋「いやいや、正座して見るような番組ではないですから(笑) 『おかあさんといっしょ』は日常に横たわっているもの。飽きずに食べられる“白いごはん”だと思って、これからも観続けてくださいね」

(取材・文/nakamura omame)

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