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<Wコラム>「芸能兵」はなぜ廃止されてしまったのか

Wow!Korea / 2016年5月18日 22時46分

みんなが軍の広報をすればいい(写真提供:ロコレ)

韓国の軍隊には少し前まで、軍隊内の慰問公演や軍の広報に務める国防広報院・広報支援隊員という制度があった。いわゆる「芸能兵」と呼ばれた存在である。彼らは軍部の広報やイベントを率先して行なう部隊であり、配属されるのも俳優やアーティストなど知名度の高い人物に限られていた。

■あまりに長すぎる休暇

芸能兵は、皮肉をこめて“国内最高のエンターテイメントグループ”と揶揄されることもあった。

芸能兵は広報を担当するという性質上、一般大衆の前に姿を見せる機会も多く、韓流スターの入隊時には芸能兵に配属されることを願うファンもたくさんいた。

ところが、現役で入隊している一般兵の多くは芸能兵に悪感情を抱く場合が多かった。厳格な軍規と階級社会の軍隊生活で、“芸能人”だからと特別扱いすることに不満を抱くのも当然だろう。

そんな芸能兵制度に対する不信感が一気に増したのが2011年だ。ある議員が過去3年間の資料を調査してみると、ほとんどの芸能兵たちが90日以上休暇を過ごしていることが発覚したのだ。

しかも、中には150日以上の休暇を過ごしていた者までいたという。

150日といえば21か月の軍生活のおよそ5か月を休暇に費やしたことになる。一般兵の休暇が平均的に30日くらいなのと比較して驚異の数字だ。

■国民の怒りを買ってしまった

芸能兵への不満が高まる状況の中で、不祥事が相次いだ。

2012年の年末には服務中のRain(ピ)が女優キム・テヒとのクリスマスデートや、禁止されている携帯電話の所持、さらに、広報活動で済州島に遠征した際に豪華スイートルームに宿泊していたことがスクープされた。

軍服務中は格安のモーテルに泊まることすら許されない。近隣の軍施設に宿泊するのが大原則である。軍施設以外での宿泊は外出と判断されるからだ。当然、韓国内での芸能兵への風当たりは強くなる一方だった。

2013年6月、芸能兵制度を終焉に導いた事件が起きた。

韓国のテレビ局SBSの人気番組『現場21』が、『チョン・ジフン(Rain)以降、芸能兵の服務実態はどう改善されたのか』というロケを敢行したのだ。番組スタッフは事前調査の結果、複数の芸能兵が広報活動後に、部隊に戻らないで歓楽街にいるという情報をつかんでいた。

『現場21』は現場を抑えようと突撃リポートを敢行。歓楽街のモーテルで、人気歌手SE7EN(セブン)を中心に複数の芸能兵たちを発見した。

彼らは兵役中にも関わらず、私服に着替えて堂々と携帯電話を使用。酒を飲みながら焼き肉を楽しむなど、明らかな軍規違反を行なっていた。

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