1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アジア・韓流

<Wコラム>日韓ではドラマ制作がこんなにも違う

Wow!Korea / 2016年5月30日 19時37分

それは、2005年2月のことだった。韓国の公営放送局・KBSのドラマ映像チームに所属するベテランのカメラマンが、過労のために亡くなった。その背景にはドラマ制作現場の過酷さが影響していた。(写真提供:ロコレ)

それは、2005年2月のことだった。韓国の公営放送局・KBSのドラマ映像チームに所属するベテランのカメラマンが、過労のために亡くなったのである。その背景には一体、何があったのか。ドラマ制作現場の過酷さが影響していた。

■起こってしまった過労死

当時、2つのドラマの撮影を掛け持ちしていたカメラマンは、撮影中にひどい頭痛が起きたと訴えたが、頭痛薬を飲んで撮影を続けさせられた。

2日後、別のクイズ番組の編集を指示され、夜中まで作業を続けているときに再び激しい頭痛に襲われた。耐えかねたカメラマンは、休暇を申請して故郷に身を寄せたが、帰省から間もなく意識を失ってしまう。病院に緊急搬送されたが、すでに心臓マヒにより息を引き取っていた。

記録によれば、このカメラマンは1か月に144時間も残業を強いられていた。

しかし、彼が特別なケースだったわけではない。別の調査では、同じドラマ映像チームに所属する約30人のカメラマンの平均残業時間が、60~80時間に及ぶことが明らかになった。

これは、毎週のように2時間の長さの映画を撮影するのと同じくらい、殺人的な業務量だという。

さらに、KBSだけでなく他局でも同様の問題が発生していた。

■俳優も例外ではない

MBCのあるプロデューサーは、劣悪な制作環境をこう表現している。

「スタッフがドラマの撮影中に倒れて、応急室に運ばれていくのはよくあることなので、特に誰も気にすることはない」

この言葉は、制作現場のスタッフの過労が常態化していることをうかがわせる。

韓国ではひとつのドラマを完成させるまでに、カメラや音声、照明、メイクなど、多いときで約80人ものスタッフが携わる。

しかし、放送局の社員はごくわずか。そのほとんどが、ドラマ制作会社に席を置く非正規社員か、フリーランスの人間だ。

こうしたスタッフたちは、放送局から事故やケガなどに対するしっかりとした補償も受けられないまま、過酷な労働を強いられる。

俳優も例外ではない。撮影中に俳優が過労で倒れるケースは枚挙にいとまがない。

見かねたパク・シニャンがこうアピールしたことがあった。

「42時間も休まずに撮影を続けるという、俳優とスタッフを酷使する非人間的な撮影環境は改善されるべきだ」

はっきりとこう言えるのも、パク・シニャンが大物で力を持っているからだ。そうでない俳優は泣き寝入りだ。

■日韓のドラマ制作環境の比較

韓国では、ドラマの制作環境に大きな問題があると以前から指摘されてきた。その主な原因として挙げられていたのは、「あまりに無理な撮影スケジュール」「制作スタッフをはじめとした人材の不足」「出演俳優に多額のギャラが支払われることによる制作予算の偏重」などだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください