<Wコラム>イ・ミンホとチャン・グンソクが生まれた年に韓国で何が起こったのか(前編)
Wow!Korea / 2016年7月2日 12時56分
この過剰な取り締まりに反発した学生たちは、全国の主要都市で戦闘警察と衝突。市民を巻き込んだ抵抗運動はついに最大規模となった。
■ソウル五輪の開催に暗雲
ソウル市では、膨れ上がった学生デモ隊が都心部に繰り出し、路上に座りこんで「独裁反対」を叫んだ。これに対し、戦闘警察は催眠弾攻撃をかけ、双方の激しい攻防が続いた。また、派出所への投石、新聞スタンドへの放火などもあり、ソウル市内は深夜まで騒然とした雰囲気に包まれた。
ソウル市だけでなく、全国30都市以上で抗議デモが激化。催涙弾の被害が広がって各都市はマヒ状態となり、事態は深刻度を増すばかりだった。
大規模なデモには学生だけでなく市民も参加した。いわば、国民すべてを巻き込んだ大闘争に発展していたのである。6月15日には全国45大学で6万人の学生がデモを繰り広げ、その抵抗運動は衰えることを知らなかった。
燃え上がった反政府運動は、18日になってさらに激化した。ソウルでは学生3万人が中心部で警察のバスを焼いたために、長時間にわたって交通がマヒ状態となった。
釜山でも10万人にふくれあがった学生を戦闘警察も阻止できず、中心部は解放区同然となった。
韓国全土の反政府運動の様子が世界に伝わるのは政権側にとって大打撃だった。主要国の中には翌年に開催予定のソウル五輪を危ぶむ声も高まり始めた。
■アメリカの説得
全斗煥の苛立ちもつのる一方だった。6月19日の朝、激しい反政府運動に業を煮やし、軍を出動させる腹を固めた。
「政党を解散させ、デモに参加している学生を逮捕し、政治犯は残らず軍事法廷に引っ張りだす」
全斗煥は国防相や軍首脳を集めて、翌日の早朝にデモ鎮圧の軍を出動させる意向を明らかにした。その最終決断を同日(19日)の午後5時にする予定だった。その直前に持ち込まれたのが、アメリカのレーガン大統領の親書だった。
「反政府運動に対して過剰な対応をしないように自制を求めると同時に、問題解決のために野党勢力と対話を進めてほしい」
そういう忠告だった。
アメリカは全斗煥を刺激しないために、レーガンが友人に手紙を書くという形でゆるやかに説得しようとした。親書では、一応は平和的政権委譲を進めようとしている全斗煥の政治姿勢を称賛し、その立場を最後まで支持することを書き添えた。ただし、穏やかな表現が綴られていたとはいえ、全斗煥が強硬手段を取ればアメリカも断固たる措置を取るという決意も言外ににじませていた。
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