【会見レポ】映画「弁護人」ソン・ガンホ、10年ぶりの来日記者会見! 「怖いと感じたけれど勇気を出して演じました」
Wow!Korea / 2016年11月11日 23時55分
―後半の裁判のシーンはものすごく迫力があり、それはソン・ガンホさんの迫真の演技があったからだったと思います。どんな思いで演じられましたか?
ソン:先ほど、公判のシーンは一人で練習したと申し上げましたが、あのシーンはどう演じたらいいのか、何日も考え抜きました。そうしているうちに、あのシーンにおける感情やリズムが自然と身に付いたのではないかと。あのシーンは、テクニックではなく、あの時代を生き抜いた盧武鉉元大統領をはじめ、多くの韓国国民が望んでいた民主主義に対する思いが込められていたので、そんな熱い思いが、自然と湧き上がってきたのではないかと思います。そして、裁判シーンと同じにように、実際に盧武鉉元大統領が無視されたり、相当つらい目に遭ったりしていましたし、モハメド・アリのボクシングのシーンをセリフで言っていましたが、あのくだりも実際にお話しになったことを取り入れています。そのときの気持ちというのは、私があの時代を生きてきたソン・ガンホという役者の気持ちと折り重なるような形で、あのシーンに現れていたのではないかと思います。
―ラストシーンも印象的ですが、どんな思いで演じられましたか?
ソン:ラストシーンが終わってから、字幕にも、当時同僚の弁護士が何人いて、何人が裁判に参加したというのが出てきますが、あの数字は事実に基づいています。そして、一人ずつ起立したというのも事実です。映画を見ると、映画なのかなと思いますが、本当にこれが現実にあったことなんだということを思い知らされました。盧武鉉元大統領が生前、目指していたことがいまになって大勢の方の心に届き、皆さんが共感してくださっているのだと思いました。それが感じられるのが、あのラストシーンだと思います。演じるにあたっては、最大限寂しくて、悲しい気持ちも抱えていて、とてもつらい状況にある姿を表現したいという思いで演じました。
―ヤン・ウソク監督は、本作で初めてメガホンを取り、ソン・ガンホさんよりも年下ですが、監督とはどのような話をされましたか?
ソン:驚いたことがあったんですが、監督にお会いしたとき、この映画のストーリーをいつの時点で構想したのかを聞いたんですよ。もし、盧武鉉元大統領が亡くなられた後に考えていたとしたら、ちょっとガッカリしたと思うんですが、監督がこの映画を構想したのは、1990年代の初めの頃だと答えたんです。そして、「いつか自分が映画監督になったら、ぜひ映画にしたいと思っていた」と言われたので、大きな感動を覚えました。監督の中では、政治的な背景があったわけではなく、この時代を描くだけでも、映画として感動を与えられると思っていらっしゃったんだということが分かりました。
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