吉本新喜劇・西川忠志 漫才師ではなく役者の道を選んだ理由 父・きよしからは芸人の道を勧められたことも
よろず~ニュース / 2024年5月4日 11時0分
西川忠志
吉本新喜劇の西川忠志(56)がこのほど、大阪市内でよろず~ニュースの取材に応じた。5歳の子役からはじまり、大学在学中に本格的に役者の道へ進み、新喜劇に入団して15年。これまでの役者人生、父・西川きよしとのエピソードなどを語った。
6月16日に大阪・なんばグランド花月で「西川忠志 吉本新喜劇入団15周年記念公演 感謝」が開催される。親交のある女優・戸田恵子も特別ゲストとして出演。「今まで出会わせていただきました全ての皆さまにありがとうございましたという感謝の気持ちを込めてタイトルに『感謝』と付けさせていただきました。舞台を見て良かったと思っていただけますように、皆さまのお力をお借りして、精いっぱい務めたいと思っております」と意気込んだ。
漠然と役者に憧れを抱いたのは5歳のとき。宇津井健と有馬稲子が主演のドラマで、フランスから離婚して帰ってくる有馬の子ども役だった。プロデューサーが洋風の顔立ちの子どもを探していて、「西川きよしさんの息子さんがいる」と頼まれて出演することになった。ドラマやスタジオの雰囲気、メイクルームの香り…。「子供心に何かいいなあと思ったのが最初だった」と懐かしむ。
それから10歳時の夏休みに東京の芝居好きの知り合いに連れて行ってもらった大竹しのぶ主演のミュージカル「にんじん」を見て、役者になることを決意した。赤毛の子が周りの子に「にんじん」といじめられる物語。劇中のシーンに衝撃を受けたという。「ぼろぼろ涙を流しながら『居眠りしてた神様が作り損ねたダメな子ども、僕はニンジン』ってフレーズを音楽に乗せて歌うんです。今でもメロディーと歌詞が鮮明にこびりついているいんですね。その時にこれがしたい!って思いました。その時からお芝居をやろうと」と振り返った。
それから事あるごとに両親に「役者になりたい」と夢を伝えた。父の西川きよしは横山やすしとのコンビで一時代を築いた漫才師。母ヘレンは吉本新喜劇の元女優。芸能界の光と影を見てきた。「取り立てて猛反対はありませんでした。ただ、父が売れっ子で楽屋に行っても、テレビ局へ行っても、ライトを浴びている皆さまに拍手をいただけるところしか見ていないんですね。ですので、親がこの仕事でそういうところを見て、この世界に入りたいんやったら、まずやめとけとは言われました。努力している方はたくさんいらっしゃる。でも、なかなか報われない人の方が多いんやと。自分は宝くじに当たったみたいなもんや」と賛成はしなかった。
きよしからは芸人の道を勧められたこともあった。「本当に役者かと。別に漫才をやれと言うのではないけど、例えば漫才だったら、なんばグランド花月など吉本のひのき舞台に立てる人はごくごくわずかだけど、芸人だと商店街やデパートの催し物とかで何かしら日銭は稼げる。だから、大金はいただけなくても、何とかひとりだったら食べていけるすべを身につけるのはそっちやぞということも言われました」。それでも役者になる思いは揺らがなかった。
その熱意に両親も折れた。きよしからは「食べていけなくても、自分がこれをやりたい、志して頑張るというのなら、自分ができることは身につけていきなさい」と言われ、中学生の頃から日舞、ジャズダンスを習い始めた。高校卒業後は玉川大学で演劇を学び、在学中に19歳で都内の芸能プロダクションに入り、役者としての道をスタートさせた。
森繁久弥、森光子、杉村春子、山田五十鈴、藤山直美らそうそうたる役者と一緒に舞台に立つなかで、喜劇に対する思いが強くなった。「皆さん、喜劇性をお持ちになっているのを感じまして。真剣な中にもお客さまがクスッと笑っていらっしゃるような場面に何度も同じ板の上で立たせていただいて、喜劇の勉強をしたいという思いが、年数がたつにつれてどんどん膨れていきました」。舞台やドラマでは真面目な役や好青年の役が多かった。
その中で頭に浮かんだのが吉本新喜劇だった。「父がいるからと言って簡単に入団できるものではありません。でも、気持ちを父に伝え、当時の大﨑社長にそこまでの気持ちがあるならと入団をお許しいただきました」。俳優として20年以上のキャリアを積んでからの新喜劇入団。「前日稽古、次の日が本番。本番では吐くんじゃないかくらい緊張しました。見るとやるとは大違いでした」と最初は戸惑いもあったが、今は真面目で暴走するキャラとして舞台を盛り上げている。
◆西川忠志(にしかわ・ただし)1968年4月20日生まれ、大阪府出身。タレント・西川きよしと元吉本新喜劇女優の西川ヘレンの長男。玉川大学在学中の87年にアクターズエージェンシーから俳優デビュー。2009年に吉本新喜劇に入団。新喜劇だけでなくドラマなど幅広く活躍中。
(よろず~ニュース・中江 寿)
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