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【株価はどう動く?】日米株価の「デカップリング」が始まった?今後日本は「インフレ、円安、株高」のサイクルに期待

財界オンライン / 2023年3月24日 20時0分

2023年3月7日のニューヨークダウは574ドル安と大幅に下落しました。FRB(米連邦準備制度理事会)議長のジェローム・パウエル氏が、3月21日、22日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.50%の利上げを示唆したことを嫌気してのものでした。

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 米債券市場では、政策金利の動きを反映しやすいとされる2年物国債利回りが約15年ぶりに5%台を付けました。

 今までであれば、ニューヨークダウが574ドル安となれば、日経平均も連動して下落していましたが、3月8日の日経平均は逆に上昇したのです。

 欧米ではコロナ禍発生以降、未曾有の金融緩和を続けてきましたが、FRBもECB(欧州中央銀行)も、一言で言えば「やりすぎた」のだと思います。その結果が、尋常ではないインフレ率です。今、これを躍起になって抑えようとしているのです。

 しかし、急速に金融引き締め、利上げを行うと景気は失速します。以前から指摘しているように、FRBは「前門の虎(インフレ)、後門の狼(景気後退)」に挟まれており、この戦いはまだ続きそうです。一時、そろそろ米金利、インフレがピークアウトするのではないかという見方もありましたが、全くそうはなりませんでした。

 金利引き上げで、多少米国のインフレが和らいで金利が低下する局面があっても、当分米国、世界のインフレ率が高止まりすると予想してきましたが、実際にそうした動きになってきています。インフレとの戦いは長期化するということです。

 その理由としては、前述の通りコロナ後の世界の金融緩和です。このツケがしばらく続くことになります。この手仕舞いに加えて、ウクライナ戦争の長期化があります。

 戦争はモノ不足とエネルギーコストの上昇を招きますからインフレとなります。これは第一次世界大戦、第二次世界大戦、いずれもそうでした。ですから、米国1国が金融引き締めをしたくらいではインフレは終わらないということです。

 今の市場の動き、大局観を掴むには、歴史のサイクルを知る必要があります。その点で参考になるのが第一次世界大戦の時の世界及び日本の情勢です。今の世界の動きが、この時と類似しつつあるからです。

 当時は、今のウクライナ戦争のような形で始まりましたが、最終的には欧州全土が戦場になりました。今は、ウクライナでの局地戦ですが、特にNATO(北大西洋条約機構)は臨戦態勢を取っています。NATOの代理戦争を米国が支援しているという構図です。

 その欧州に対して物資を運ぶのは誰かというと米国と日本です。日本は軍需物資を送ることはできず、民需に応えることになります。

 今、米国株式市場は中長期の下落トレンドに入っていますから当分、厳しい状況が続くと見ています。短期的にいい材料が出れば株価は戻りますが、前の高値を奪回することは難しい。つまり、どんどん「屋根」(高値)が下がっているのです。

 以前から指摘してきたように、これまで日本株は米国株に連動していたものが、いずれ「デカップリング」になると見てきましたが、3月8日がその出発点となるかもしれません。

 日本は30年近く続いたデフレが終わろうとしています。その兆候として、個人金融資産1000兆円の一部が、徐々に株式市場に向かい始めています。

 3月3日の日本経済新聞朝刊1面に「投信積み立て、ペース倍増 年換算2・4兆円 ネット証券5社 貯蓄から投資に拍車」という記事が出ていました。これは脱デフレのサインです。

 脱デフレの最も大きな要因は円安です。日本経済は「デフレ、円高、株安」で低迷してきましたが、今はその逆で「インフレ、円安、株高」になろうとしているのです。そのことに、日本の個人は気づき始めています。

 円安がフォローとなって株価は上がり、物価目標2%を達成する可能性も出てきました。米国が高いインフレを抑えて2%に持っていきたいのに対し、日本はマイナスから2%に持っていこうとしている段階です。日本だけが世界のインフレから切り離されているのです。

 同じく3月3日の日本経済新聞朝刊には最終損益のコロナ前比増減額を比較した「決算ランキング」が掲載されていました。19年と22年の4―12月期を比較したものですが、増額の首位は日本郵船(東証PRM 9101)でした。

 2位は日本製鉄(東証PRM 5401)。その他、海運、総合商社が軒並みランキング入りしています。この要因は円安です。海運も鉄鋼もビジネスをドル建てで行っていますから、この恩恵を受けているのです。

 前述の通り、日本はこれから「インフレ、円安、株高」に向かっていくことが予想されます。この1―3月期が日本の株価の底、あるいは新しい上昇波動の出発点となるのではないかと見ています。

 4月に新しい日本銀行総裁の植田和男氏が登場する頃から、はっきりとした株高トレンドに入っていく可能性があります。なので、当面は海運、鉄鋼、総合商社といった銘柄が牽引することになります。

 その後、日本はデジタル産業革命を推進しなければ他の先進国に追いつくことができませんから、その関連銘柄が出てくることになります。この動きがあるとすれば年後半になります。

 株式市場のイメージとしてはラグビーでいう「スクラムトライ」相場だと見ます。株価は「オセ!オセ!」の雰囲気です。鉄鋼、海運株などが一団となって押し込み、高値を付けます。岸田政権が何も手を打たなくとも、「貯蓄から投資へ」の流れが強まると見ています。

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