日本郵政グループ人事、懸案の持ち株社長、ゆうちょ銀社長は動かず
財界オンライン / 2023年5月15日 18時0分
日本郵政グループが傘下のかんぽ生命保険と、日本郵便の社長交代を発表した。かんぽ新社長には、ゆうちょ銀行副社長の谷垣邦夫氏が就き、日本郵便新社長には、かんぽ社長の千田哲也氏が横滑りする。
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トップ交代は、かんぽ不正契約問題の発覚を受けて経営陣が総退陣して以来、約3年ぶり。ただ、明確な成長戦略を描けていない日本郵政社長の増田寛也氏は続投。在任期間が7年超に及ぶゆうちょ銀行社長の池田憲人氏も残留する。
かんぽの22年度新規契約件数は不正発覚前の2割程度と落ち込んでいる。事態を憂慮した日本郵政経営陣は、かんぽ事業のキャリアが長い千田氏を日本郵便社長に起用し、かんぽと郵便局現場との融和に努めさせる腹積もりだ。
それ以上に「グループの成長戦略を示せていない」という指摘は市場を中心に強い。21年に打ち出した中期経営計画では最終年度の連結純利益見通しは2800億円とピーク時から半減を予想する「失望的な内容」(アナリスト)。さらに21年3月に約1500億円を出資し、業務・資本提携した楽天グループとの物流事業での協業は一向に成果が上がっていないのが実態。
日本郵政の株価も足元で1100円台と、15年11月の新規上場時の公開価格(1400円)を大きく下回る。日本郵政社長の交代論も霞が関や永田町では浮上するが、産業界では「リスキーな政治案件」と認識され、「火中の栗」を拾おうとする人材は見当たらず、増田社長体制は長期化しそうな気配。
ゆうちょ銀社長も「在任期間が長過ぎる」などと交代論があり、金融庁や総務省を中心に水面下で後継者を探ったが調整がつかず、見送られたという。関係筋によると、三菱UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループの役員経験者が浮上したが、引き受けるまでには至らなかった。
郵政民営化から15年以上経っても将来像を示せない日本郵政、経営体制をどう強化するかが最大の課題と言えそうだ。
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