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【株価はどう動く?】厚い「4万円の壁」、日本経済と株式市場は不安定・不透明

財界オンライン / 2024年12月27日 18時30分

日経平均4万円の壁は厚く…

「中段保ち合い」から上に放れるか、下に放れるか

 年末年始の株式市場のシナリオを予想したいと思います。

 足元で日経平均は3万8000円から4万円という狭いゾーンで動いています。2024年7月に天井を付けてから12月まで5カ月揉み合っているわけです。高値を付けてから少し下げて揉み合う形を「中段保ち合い」と言います。

 保ち合いは横ばいのことですが、相場の波動では底値圏で底値を形成するまで揉み合う、今お話した「中段保ち合い」、高値近辺で揉み合う「上値遊び」という3種類あります。いずれも日柄調整が終われば、上か下かに放れます。この日柄調整は過去の例を見ると約半年です。

 7月高値から年末年始はちょうど半年ぐらいになりますから、上か下に放れることが予想されます。

 そこで3つのシナリオを予想すると、まずは年末まで3万8000円から4万円のゾーンで揉み合うという中立シナリオ。次に、4万円の壁を突破して4万円から4万5000円という新しいゾーンに入っていくというのが楽観シナリオです。3万8000円の下値支持線を下回って9月9日の安値、3万5247円に向かって落下して二番底を付けるというのが悲観シナリオになります。

 株価の弱気材料は、まずは前回も指摘した日本の政局不安です。12月は補正予算の審議が行われましたが、野党の強気な姿勢が目立ち、自民党は押され気味でした。これは株価にマイナスです。

 例えば12月10日の衆議院予算委員会で野党側から「金融所得課税の強化の是非」についての質問が出ました。石破茂首相は自民党総裁選に立候補した際に金融所得課税の強化を検討すると発言していましたが「私の立場でお答えすることは差し控える」と明確な回答を避けました。当然だと思います。

 その後に続けて「お金持ちだけが有利になるのは望ましい社会だと思わない」とした一方、「貯蓄から投資の流れを止めてはいけない」とも答えています。ただ、前段の発言は、まるで社会主義です。多くの人が健全にお金持ちを目指すことができなければ資本主義社会は発展しません。努力せずとも生活していけるというような、旧ソ連のような社会主義は破綻したわけですから。

「格差是正の観点から、税負担の公平性を確保することは大事だ」ともしています。石破首相が、このように社会主義的な野党のような答弁をしているようであれば株価は上がりません。

 次に円高です。23年4月から始まった資産インフレ相場は円安が追い風になっていました。海運、鉄鋼、総合商社など円安メリットのある銘柄が相場を牽引してきましたが、ここに来て為替は円高に動いています。

 これが一時的な円高で、年末年始にかけて再び円安に動くなら株価の支えになりますが、150円を突破して145円、140円に向かう場合には株価はよくて中立シナリオ、悪ければ悲観シナリオに向かうでしょう。

 この為替の動きは、日銀の利上げを織り込んでいるからです。日銀は、時期がいつかは別にして利上げに動いています。一方、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げ方向ですが、ウォール街では利下げの継続が疑わしくなっていると見られています。なぜなら市中金利、10年もの国債の金利が上がってきているからです。これはトランプ効果です。

 さらに、地政学リスクが継続しています。トランプ氏は大統領就任でロシア・ウクライナを停戦させると言っていますが実現できるか、イスラエルとアラブとの戦いを調整できるのか。

 もし仮に実現できたとしても、シリアの政権崩壊のように、また新たな紛争が世界で起きるというのが、今の歴史のサイクルだと思います。まさに「世界戦国時代」に入りつつあります。そのきっかけとなったのが22年2月のロシアのウクライナ侵攻です。

 そして直近はロシアと北朝鮮の軍事同盟がありましたが、危険な兆候です。その後、韓国の政局が大きく動揺して社会が不安定化しています。この機会に北朝鮮が何か仕掛けてくる可能性もあります。今はウクライナ、中東に目が向かっていますが朝鮮半島有事も有り得る情勢です。ロシアの後ろ盾を得た北朝鮮が強気になっているからです。

 将来、朝鮮半島有事があれば、韓国対北朝鮮ではなく、韓国対ロシア・北朝鮮です。この時、どれだけ欧米が支援するかが問われますし、日本にも支援要請があるかもしれません。

 これらの要因から、日本の株は24年7月11日の高値をなかなか奪回できず、4万円の壁が厚く、上値が重い展開が続いています。直近の日本経済と株式市場の見通しは、不安定・不透明な状況です。

 これまで何度か指摘してきたように、中長期的に日米の株価が上昇トレンドにあるという見方は変わっていません。しかし短期的にはマイナス要因を一度、株価に織り込んで、大きく下げた方が、その後の上昇に向けていいのではないかと思います。そこで二番底を入れて、25年はトランプ政権の誕生を受けて上昇するという展開です。

 米国株も歴史的な高値圏にありますから、一度調整に入る可能性がありますが、これもその方が今後に向けてはいいと思います。調整が入らないうちは、いつ下がるかという不安が続くからです。

 トランプ氏の政策は減税、規制緩和、軍事費の拡大が言われていますが、これは好景気につながります。過度なインフレを招く恐れも指摘されていますが、あらゆるセクターでのコスト削減を伴う規制緩和によって、インフレ要因を相殺する可能性があるからです。

 これらの要因で2025年に米国に好況、株高が到来すれば、日本の株も連動して上がります。しかしその前に、負の連鎖を一度落としておきたいところです。

 ただ、「掉尾の一振」があるかもしれません。それは来るトランプ時代の到来による好況到来、株高の期待をすで株式市場は織り込み始めているからです。

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