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相場展望3月18日号 米国株: 金利上昇でハイテク株に売り 日本株: 日銀の政策修正と米FRBによる「金利高」「円相場」に注目 36業種の週間別騰落は、下落数が多数へと変化

財経新聞 / 2024年3月18日 9時59分

■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)3/14、NYダウ▲137ドル安、38,905ドル(日経新聞より抜粋)   ・NYダウは4営業日ぶりに反落して終えた。朝方発表の2月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想を上回り、米長期金利が上昇。株式の相対的な割高感から幅広い銘柄に売りが優勢となった。NYダウの下げ幅は一時▲300ドルを超えた。

  ・2月のPPIの前月比の上昇率は+0.6%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想+0.3%を上回った。エネルギー・食品を除くコア指数も市場予想以上だった。今週発表された2月の米消費者物価指数(CPI)も市場予想より上振れし、インフレの沈静化には時間がかかるとの観測が広がった。

  ・米長期金利は4.3%ちょうど付近と前日終値4.19%を大きく上回る場面があった。米原油先物相場が上昇し、一時は1バレル=81ドル台と期日物として昨年11月以来の高値を付けた。「原油高はインフレ抑制の足かせになる」との見方も誘った。

  ・一方、朝方発表の2月の米小売売上高は前月比+0.6%増と、市場予想+0.8%増に届かなかった。「インフレの根強さが残る一方、消費は想定ほど伸びず、先行きの景気減速への懸念がくすぶった」との声も聞かれた。

  ・朝方は高く始まった。主力ハイテク株の一部が相場を押し上げ、NYダウは2/23に付けた最高値39,131ドルを上回る場面があった。ただ、買い一巡後は急速に伸び悩んだ。

 ・個別株では、ハネウェルやJPモルガン・チェース、ホームデポなど景気敏感株や消費関連が売られた。半面、マイクロソフトやアップルが高い。原油高を受け、シェブロンも上昇した。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落して終えた。エヌビディアが▲3%強安、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やマイクロンなど他の半導体株の一角も下落した。アナリストが目標株価を引下げた電気自動車のテスラの下げも目立った。

 2)3/15、NYダウ▲190ドル安、38,714ドル(日経新聞より抜粋)   ・NYダウは続落した。米長期金利が上昇し、ハイテク株を中心に株式の相対的な割高感が意識され、売りが出た。

  ・長期金利は一時4.32%と2月下旬以来の高水準を付けた。今週発表された米物価指標が相次いで市場予想を上回る伸びとなり、インフレの沈静化に時間がかかるとの見方が強まった。米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げが緩やかになるとの観測がある。アップルやアマゾン、セールスフォースなどハイテク株への売りが目立った。NYダウの下げ幅は▲290ドルに迫る場面があった。

  ・市場では、「エヌビディアなどの大手ハイテク株はこのところ続く上昇を受け、『フロス(小さい泡)』の状態になっているため、短期的に慎重な見方もある」との声も聞かれた。

  ・来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える。米金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」では、政策金利を据え置く確率は9割を超えている。ただ、FOMC後に公表される政策金利見通し(ドットチャート)やパウエル議長の記者会見で今後の政策の方向性を見極めようと、市場の関心は高い。

  ・個別株では、IBMやビザ、アムジェンが下落した。半面、スリーエムやキャタピラー、メルクは買われた。

  ・NYダウは週間で▲7ドル安だった。3週連続での下落は、2023年10月以来の長さとなった。

  ・ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落した。メタプラットフォームズやエヌビディアが売られた。

●2.米国株:金利上昇で値がさハイテク株に売り

 1)米金利上昇   ・米長短金利の推移 3/1   3/15    米国 2年債利回り 4.531% 4.732 +0.201%上昇    米国10年債利回り 4.180  4.308 +0.128%上昇    長短j金利差    0.351  0.424 +0.073%拡大   ・金利上昇で、株式は相対的に割高感意識が高まり、株式相場は軟調へ。

 2)米インフレ率の高止まり   ・米2月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比+3.2%、市場予想+3.1%から伸びを拡大した。変動が激しい食料とエネルギーを除くコアCPI指数は、前年同月比+3.8%。米FRBが目標とする+2%には遠い水準である。

  ・米インフレ率は鈍化傾向を示してきたが、減速どころか加速する可能性を示唆している点に着目したい。

 3)ハイテク株の軟調が明確化、特に半導体関連株・電気自動株   ・SOX指数の推移         1/2  3/7  3/15  3/7比     フィラデルフィア半導体株指数 4,023 5,165 4,757 ▲7.9%安   ・主要株価の推移     エヌビディア         481  926  878  ▲5.2%安     メタ・プラットフォームズ   346  512  484  ▲5.5%安     マイクロソフト        370  425(3/14)416 ▲2.1%安   ・他の主要株価の推移     アップル:最高値2023年7/3の195ドル ⇒ 2024年3/15の172ドル比 ▲12.8%安     テスラ:最高値2021年11/1の381ドル ⇒ 2024年3/15の163ドル比 ▲57.1%安

 4)かつての株価牽引役のアップル、テスラから新主役への交替がみてとれる

 5)新主役に交替も、早くも息切れ   ・米金利がインフレ率の下げ止まりと再加速懸念で上昇が見込まれるため、上昇懸念が浮上してきた。   ・金利の上昇は、高値ハイテク株に割高感が意識され、売り込まれる傾向にある。したがって、下落波及の広がりの備えが必要となりそう。

●3.JPモルガン、2024年の米利下げ幅予想を従来▲1.25%⇒▲2.50%に修正(ブルームバーグ)

 1)長期金利は+0.125~+2.50%上昇する可能性もあり得ると考えられる。

●4.米2月生産者物価指数(PPI)は予想上回る伸びで、6カ月ぶりの大幅上昇(ブルームバーグより抜粋

 1)燃料と食品価格が上昇し、インフレの高止まりを新たに示唆した。PPIは、前年同月比で+1.6%上昇した。

 2)変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPPIはざ前年同月比で+2%上昇、予想は 1.9%だった。

●5.ビットコイン、過去最高値から反落、「バブル」を巡る議論が激化(ブルームバーグ)

●6.FRBは年内3回の米利下げ見通しを堅持へ=エコノミストの調査予想(ブルームバーグ)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)3/14、上海総合▲5安、3,038(亜州リサーチより抜粋)   ・米中対立の警戒感が投資家心理の重しとなる流れ。

  ・バイデン米政権は今年に入り、中国の自動車や半導体、バイオテクノロジー、プラットフォームなどの規制を強化しつつある。

  ・指標発表も気懸り。中国では明日3/15に3月の中期貸出ファシリティ(MLF)金利、今日3/14または3/15に2月の金融統計が発表される予定だ。

  ・もっとも下値を叩くような売りはみられない。

  ・国務院(内閣に相当)は3/13、投資と消費の促進に向け、設備更新や消費財の買い替えを促すための具体的な数値目標を発表している。目標達成に向け、財政、金融面での支援も強化していく方針という。

  ・指数はプラス圏で推移する場面もみられた。

  ・業種別では、ハイテク関連の下げが目立ち、消費関連も冴えない。公益・軍事関連・メディア・娯楽・証券なども売られた。半面、石油・石炭などエネルギーは高い。創薬支援関連を除く医薬・素材・運輸・銀行・不動産は買われた。

 2)3/15、上海総合+16高、3,054(亜州リサーチより抜粋)   ・前日までの軟調地合いを継いで中盤まで軟調に推移したが、終盤にかけて持ち直し、4日ぶりに反発した。

  ・中国の経済対策に対する期待は根強く、政策で恩恵を受ける銘柄を物色する動きがみられた。ただ、上値は限定的。

  ・週明けの3/18に小売売上高や鉱工業生産など主要経済統計の発表を控えて、内容を見極めたいとするスタンスが様子見ムードを強めさせた。

  ・また米金利高を嫌気した昨夜の米ハイテク株安や、中国人民銀行(中央銀行)の資金吸収がマイナス材料となった。人民銀は朝方、3月の中期貸出ファシリティ(MLF)金利を予想通り前月と同水準に据え置き、+3,870億人民元を供給したが、供給規模は予想+5,500億人民元を大幅に下回り、前回分との差引で▲940億人民元の資金吸収となっている。

  ・業種別では、非鉄金属関連の上げが目立ち、環境保護関連もしっかり。石油・機械・セラミック・プラスチックも買われた。半面、石炭・道路・橋梁は下落した。

●2.中国不動産開発の万科、販売額が2018年以来の大幅減、資金難に拍車も(ブルームバーグ)

 1)前年比▲53%減の140億元(約2,890億円)。

●3.鉄鉱石先物下落、 1トン=100ドル割れ、中国不動産危機続くとの懸念(ブルームバーグ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)3/14、日経平均+111円高、38,807円(日経新聞より抜粋)   ・日経平均株価は4営業日ぶりに反発した。このところ日本株の下落が続いていたため、自律反発を見込んだ買いが優勢となった。米株価指数先物が日本時間3/14に堅調に推移したことが追い風となった。前日の米ハイテク株安を背景に朝方は売りが優勢だった。

  ・日銀の金融政策修正観測などを背景に、日経平均は前日まで3日続落していた。下げ基調が続いていた成長期待の大きい半導体関連を中心に見直し買いが入りやすかった。チャート上の25日移動平均(3/14時点で約38,700円が下値支持線となり、指数の底堅さが意識された。 資源関連の主力バリュー(割安)株の一角に物色が向かったことも支えとなり、後場寄り直後に日経平均は上げに転じた。

  ・朝方は売りが優勢だった。前日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価亜指数は反落。エヌビディアなど半導体関連が下落し、東京市場でも東エレクやアドテストなど関連銘柄が売られた。日銀の上場投資信託(ETF)の買い入れ終了観測を複数メディアが報じたことも相場の重荷となり、午前に日経平均の下げ幅は一時▲300円に迫った。

  ・東証株価指数(TOPIX)は4営業日ぶりに反発した。JPXプライム150指数は4営業日ぶりに反発して終えた。

  ・個別銘柄では、ファストリやレーザーテク、ホンダが買われた。住友鉱など資源関連も高い。一方、中外薬やリクルートが下げ、三菱UFJも安い。

 2)3/15、日経平均▲99円安、38,707円(日経新聞より抜粋)   ・日経平均株価は反落した。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ時期が想定よりも遅くなるとの見方から、3/14の米主要3指数が下落した流れを引き継いだ売りが優勢だった。米ハイテク株の下げが目立ったことから、東京市場でも半導体関連株の下げが目立ち、日経平均の押し下げ要因となった。ただ、朝安後は根強い先高観を背景とした押し目買いで底堅く推移し、後場寄り直後には先物へのまとまった買いをきっかけに日経平均は小幅ながら上昇に転じる場面もあった。

  ・3/14発表の2月の米卸売物価指数(PPI)は前月比+0.6%上昇と市場予想+0.3%を上回り、エネルギー・食品を除くコア指数も市場予想を上回った。FRBが早期の利下げに慎重になるとの見方から米市場では長期金利が上昇し、ハイテク株を中心に売りが出た。3/15の東京市場でも東エレクやアドテスト、スクリンといった値がさの半導体関連株が総じて軟調だった。3月期末を前に国内機関投資家がリバランス(資産配分の調整)を目的とした売りを出しているとの声も聞かれた。

  ・日銀は来週の金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除するとの見方が広がっている。ただ、「重要イベントを前に投資家の様子見姿勢は強かったが、日銀がマイナス金利政策を解除しても、利上げは時間をかけて進める可能性が高く、当面は緩和的な金融環境が続くとの見方が日本株相場の支えになっていた」との声もある。外国為替市場で円相場は円安基調で推移し、輸出関連株の支えとなった。

  ・東証株価指数(TOPIX)は続伸した。JPXプライム150指数も続伸して終えた。

  ・個別株では、ダイキンや川崎汽船が安く、中外薬や資生堂、味の素が下落した。ヤマハや荏原、楽天が売られた。一方、トヨタやホンダ、デンソーが高い。三菱商事や三井物産、INPEXが上昇した。ファストリやソフトバンクGも買われた。

●2.日本株:日銀の政策修正と米FRBによる「金利高」「円相場」の動向に注目

 1)日銀は、マイナス金利解除の方針   ・日銀は金融政策決定会合を3/18~19に開催し、マイナス金利解除が焦点となる。   ・物価上昇率も2%を超え、賃上げも相次ぎ平均5.88%(連合発表)となるなど、日銀が想定した基準を上回ってきた。

 2)急ピッチな円高の反動と、日米金利差の拡大を受け、円安基調に   ・日米金利差の推移 3/1   3/15  上げ幅    日本10年債利回り 0.710% 0.776 +0.066 +9.3%高    米国10年債利回り 4.180  4.308 +0.128 +3.1%高    日米金利差    3.470  3.532 +0.062 +1.8%高   ・日米金利差は3/15時点で拡大し、円高⇒円安に傾いている。   ・米国の金利上昇傾向をみると、しばらくは円安傾向が進むとみられる。   ・円相場は3/15米国時間で、1ドル=149.045円    円相場の推移 3/1   3/11  3/15(日本時間)(米国時間)    1ドル=円  150.39円 146.97    148.29  149.045

 3)業種別騰落では、下落業種が7割と増加が目立つようになり、相場の軟調が気懸り   ・業種別騰落の推移 1/1~11 3/8~14    上げ業種数    34業種  12    下げ業種数    2     24    合計       36     36   ・36業種の騰落割合は、下げ業種が1/1~11の週の5.6%と比べ、3/8~14は66.7%の割合へと増加している。   ・この変化は、株式相場の軟調を示している。

 4)日銀のマイナス金利解除は、日本の金利上昇で「円高」要因となる   ・ただし、米FRBの動向による米金利の動きと併せてみる必要がある。

 5)日経平均は、米国株に比べ「割高」水準に依然としてある   ・日経平均は高値の40,000円台から下げているが、米国主要株価指数も下落しており、日米株価を比較すると依然として日経平均は割高に位置している。

  ・日本の業種別騰落数でみた、日経平均の弱含み傾向の推移に着目したい。

  ・なお、新高値銘柄数は多く、日経平均の強さを示し続けている。その銘柄は、日経平均への寄与度が高い「ハイテク株を含む値がさ株」である。    新高値・新安値銘柄数の推移 3/1    3/12 3/15    新高値銘柄数        143銘柄数 37  101    新安値銘柄数        9     41  11    日経平均の反発の芽がここにある。

  ・米国株を牽引しているエヌビディアなど人工知能(AI)関連株が反落基調を示しており、米国株との連動が高い日本株への波及に注目したい。

●3.日銀、マイナス金利解除へ、17年ぶり利上げ、3/19に決定(共同通信)

 1)連合が公表した今春闘の平均賃上げ率は5.28%と、33年ぶりの高さで、日銀は賃金と物価がそろって上昇する好循環が実現する確度が十分に高まったとみている。

 2)日銀はマイナス金利を解除した後も、緩和的な金融環境を維持する方針で、事実上のゼロ金利政策に移行することを想定している。

 3)金融機関が短期金利に連動する変動型の住宅ローンや企業の借入などの金利を上げるかどうかが焦点となる。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・2685 アダストリア 業績好調  ・4436 ミンカブ   業績堅調  ・7564 ワークマン  業績堅調

執筆者プロフィール

中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou

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