M&Aでローソン、ビックカメラにも店を構えるクオールHDの天敵との闘いは果たして!?
財経新聞 / 2024年3月22日 9時6分
クオールホールディングス(東証プライム。クオールHD)。全国展開する調剤薬局大手。MR(医薬情報担当者)や薬剤師の人材派遣も手掛けている。
クオールHDの大きな特徴は業務提携や資本提携、株式取得による子会社化などM&Aの積極的な展開にある。昨年末時点でグループの総店舗数は900店強だが、2022年4月末時点でM&Aの対象企業となった累計は17社。
2006年の会社設立の翌07年早々に、関東圏に64店舗の調剤薬局を展開していたエーベルを完全子会社化している。2014年にはドラッグストア:ココカラファインと業務提携etcといった具合だが、興味深いのは「街ナカ薬局」「駅チカ薬局」「駅ナカ薬局」と称される存在。
コンビニのローソンと業務提携し、併設した薬局(39店)。ビックカメラ内店舗(5店)。小田急電鉄・東急電鉄と業務提携した駅内店舗(2店)。コロナ検査の「抗原検査キット」なども取り扱われている。医療機関からの処方箋の有効期間は4日以内だが、事前にPDFなどで送信しておくと期間内に処方薬が受け取れる仕組み。
で、収益動向はどうか。コロナ禍に晒された2021年3月期は厳しいながらも「2.2%減収、4.8%営業減益」と踏ん張りを見せ、28円配継続。22年3月期は「2.7%増収、33.8%営業増益」と切り返した。
23年3月期はM&Aに伴う負担増や(材料)物価高で「3.7%の営業減益」も、記念増配を含め32円配を実施している。今3月期も「5.9%の増収(1800億円)、5.3%の営業増益(100億円)、9.6%最終増益(62億円、連続最高益更新)」。が開示済みの至第3四半期の累計実績は「75%、57%、61%」。着地計画に「?」が点滅している。
アナリストに共通した見方は、「前期のM&Aや新規出店の寄与、在宅・施設調剤の推進で既存店の受付回数増加で売上高はほぼ予定通り。しかし(天敵の)薬価改定、及び調剤報酬の改定に係る地域支援体制の経過措置終了などにより薬剤料単価・技術料単価が低下し、減益を余儀なくされている」。
クオールHDは本稿作成時点で、通期計画を据え置いている。本決算に注目が集まっている。
株式投資という観点からは、難しいと言わざるをえない。時価は1700円台終盤水準。予想税引き後配当利回り1.3%強。昨年9月の1989円から11月の1500円余まで調整した後の戻り過程と捉えることは出来るが・・・。ただ過去10年間の調整済み株価パフォーマンスは2倍強。株主を裏切る展開とはなっていない。
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