ホンダと日産が経営統合で協議か どうなる日本の自動車業界
財経新聞 / 2024年12月20日 10時46分
●ホンダと日産が経営統合で協議
18日、国内大手自動車メーカーのホンダと日産が、経営統合の協議に入ると報道された。持ち株会社を誕生させ、日産が筆頭株主である三菱自動車も将来的には合流する可能性がある。報道を受けて、両社は「様々な可能性を含めて検討」を行っているとコメントしている。報道により株価は、日産は前日比24%上昇したが、ホンダは年初来安値を更新するなど、約4%下落した。
ホンダと日産が統合すれば、販売台数数世界第3位の自動車メーカーが誕生することになる。
統合実現により、日本の自動車業界がどのように変わるのだろうか?
●背景に日産の苦境
日産は主力市場である米国や中国での不調が響き、2024年4-9月期の中間決算が営業利益・最終益ともに90%超の大幅減となった。経営の立て直しが急務となり、20%の生産能力削減と従業員9000人のリストラを敢行する方針を示していた。
販売台数の不振が顕著で、特に北米では販売店などに支払うインセンティブという販売奨励金を出して値引きしていても、過当競争には勝てなかった。
日産は長らくゴーン氏の元で経営改革を進めた。ゴーン氏は2018年に特別背任容疑で逮捕されるまで長らく経営トップに君臨し、その方針によりEV(電気自動車)に注力したため、HV(ハイブリッド車)で出遅れた。
世界的にEVシフトが逆回転する中、HV車の需要は高まっており、トヨタとホンダに大きく後れを取った。
●経営統合でどう変わる?
EV参入を目論むEMS世界最大手である台湾の鴻海精密工業が、日産の大株主ルノーに買収の意向を伝えたという報道もあった。鴻海の動きにくさびを打つ狙いがホンダと日産にあったのかもしれない。ホンダと日産の経営統合は、日産にとっては救世主であり、両社は今年3月にEVやソフトウェアの領域で協業する覚書を締結しており、ソフトウェアや部品開発の面でもコスト削減が可能になる。
しかし株式市場では必ずしも歓迎されておらず、それがホンダの株価下落につながったのかもしれない。
燃料電池車(FCV)やハイブリッドに強みを持つホンダが、逆風吹くEV開発に注力することへの期待値が高くないのかもしれない。
経営統合による技術革新により、EV市場で中国勢やテスラなどの米国勢に割り込むことができれば、トヨタと共に自動車ニッポンの復活となるが、ハードルはまだまだ高そうだ。
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