相場展望12月26日号 米国株: 幻で終わったトランプ・ラリーは12/4まで、1カ月間だけだった 日本株: ドル建て日経平均では、外国人は運用資産が目減り⇒日本株離れ
財経新聞 / 2024年12月26日 11時38分
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)12/23、NYダウ+66ドル高、42,906ドル 2)12/24、NYダウ+390ドル高、43,297ドル 3)12/25、祝日「クリスマス・デー」で休場●2.米国株 : 幻で終わったトランプ・ラリーは12/4まで、1カ月間だけだった
1)幻で終わったトランプ・ラリーは12/4まで、1カ月間だけだった ・NYダウの推移 11/04 41,794ドル 12/04 45,014 12/24 43,297・11/4⇒12/4の1カ月間での上昇幅は+3,220ドル・上昇率は+7.7%だった。特に、トランプ氏の大統領選挙勝利を受けた11/6は+1,508ドルの大幅上昇。その後12/4までは、追加金利引下げ期待や米国景気の底堅さ効果も加わって12/4に心理的節目の45,000ドルを付け史上最高値を更新した。
・その後12/24までの下落幅は▲1,717ドル・下落率は▲3.8%。その結果、トランプ・ラリーの上昇幅に対して▲53.3%を解消したことになった。
・下落理由は、来年2025年のFRBによる利下げ回数が4回⇒2回へと予想が下回ったことによる期待外れ。トランプ政策の(1)高関税 (2)規制緩和 の負の部分に意識が向き、(1)インフレ再燃 (2)金利据え置き・再上昇 (3)高関税による米国景気後退に視点が移ったことで、高値警戒感も浮上して下落に転じた。
・2016年トランプ勝利によるトランプ・ラリーとは比べると、2024年トランプ・ラリーは「幻」のようであった。
2)米国長期金利が上昇、相対的に割高感が意識される株式相場にはマイナス ・米国10年債利回りの推移 11/04 4.285% 12/04 4.225 12/24 4.589
・米国10年債利回りは「上昇」に転じている。
・金利上昇は、株式相場にとって「天敵」。運用資金を、債券投資で4.5%を上回る利潤を得られる。株式投資で4.5%を超える利潤を得るにはリスクが付きまとう。このように投資判断を決める投資家が増えてくると、投資資金は債券市場に流れるのは必然であろう。
・世界的に著名な投資家・バフェット氏が率いるハザウェイ社は、既に株式を売却⇒3カ月物の短期債券投資に転換済みである。
●3.米国消費者信頼感指数、12月は104.7に低下、全ての予想を下回る(ロイター)
●4.バイデン米国政権、中国レガシー半導体の新たな調査開始(ロイター)
1)米国通商代表部(USTR)は、中国政府主導による中国製半導体の大規模な供給拡大から、米国などの市場主導型半導体メーカーを保護することが調査の目的。2)USTRは、中国が鉄鋼やアルミニウム、太陽光パネル、電気自動車(EV)、重要鉱物の分野で影響力を拡大したように、半導体産業でも世界的な独占を狙っている証拠があると指摘。
3)バイデン政権は既に中国製半導体に50%の関税を課すことを決め、来年1/1に発効する。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)12/23、上海総合▲16安、3,351 2)12/24、上海総合+42高、3,393 3)12/25、上海総合▲0.18安、3,393■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)12/23、日経平均+459円高、39,161円 2)12/24、日経平均▲124円安、39,036円 3)12/25、日経平均+93円高、39,130円●2.日本株:ドル建て日経平均でみると、海外投資家は運用資産が目減り⇒日本株離れ
1)ドル建て日経平均でみると、海外投資家は円安で運用資産が目減り⇒日本株離れ ・ドル建て日経平均の推移 01/04 231ドル 07/11 261 12/25 248・海外投資家の評価基準は「ドル建て日経平均」である。
・日経平均が7/11に42,224円と史上最高値を付けた時、「ドル建て日経平均は261ドル」であった。ところが、12/25では248ドルと低下している。
・この状況では、海外投資家が日本株離れをするのは当然であろう。つまり、「ドル建て日経平均」が上昇する局面を迎えないことには、海外投資家は日本株に戻ってこない。
2)薄商い続く ・東証プライムの売買金額の推移 12/19 4兆2,249億円 12/20 5兆7,153 12/23 3兆5,066 12/24 3兆0,943 12/25 3兆1,697
・薄商いの要因は、海外投資家のクリスマス休暇による株式相場からの離脱。
・薄商いで値動きが激しくなるなか、この時期は相場操縦が容易になるため、暴れん坊が出現しやすい。ただ、追随買いが続かないため、注意が必要であろう。
3)年末を控え、お化粧買いの「掉尾の一振り」がある可能性 ・海外投資家・国内機関投資家たちは、年末の終値で運用評価されるため、株価の上昇を狙った動きが出る傾向にある。
・ただ、新年度の株価予想を見込んだ対応が必要であろう。
●3.ガソリン全国平均価格180円60銭、7週連続の値上がり、今後185円に値上がり(TBS)
1)補助金が縮小し、来年1月以降185円(共同通信)2)ガソリン価格10円値上げで、家計負担は年間で5~6千円増加(北海道ニュース)
●4.トヨタ、11月世界販売は前年同月比+1.7%増で最高、中国が回復(ロイター)
1)中国ではハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)が好調。北米での販売も+4.1%増。2)世界生産はリコールで▲4.6%減と10カ月連続で減も、回復傾向にある。
●5.日産自、11月世界販売▲1.3%減で8カ月連続マイナス、米英生産は3割超減(ロイター)
●6.日本製鉄のUSスチール買収審査、国家安全保障リスクで合意できず(ロイター)
1)米国当局は、最終判断をバイデン氏に一任へ(テレビ朝日)●7.10月実質賃金、前年同月比▲0.4%減=毎月勤労統計・厚労省(ロイター)
1)9月は▲0.4%減、8月は▲0.8%減だった。●8.外食チェーン、コメの大幅な値上がりを受け販売価格を値上げ(NHK)
●9.ホンダ、自己株式の取得上限を1兆1,000億円に引上げ、株価低迷に対応(日刊自動車新聞)
●10.ホンダと日産自、経営統合の協議に入ったことを正式発表(NHK)
1)両社は2026年8月の持ち株会社の上場を目指して経営統合によって効率化を進めると共に、先進技術の開発でも連携を深めて競争力を高める狙いがある。●11.1人当たりの名目GDPドル換算で、去年に初めて韓国を下回る、円安影響か(NHK)
1)経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国のなかで、韓国は21位、日本は22位。なお、日本は2010年では13位だった。2)1980年以降、最も低い順位となった。
3)米国6位、ドイツ14位、英国17位、フランス19位、イタリア20位。
●12.セブン&アイ傘下の「ヨーカ堂」の買収で、ベインとKKRが1兆円前後を提示(ロイター)
●13.崎陽軒、シュマイ弁当を2/1から120円値上げ、原材料高騰などが理由(産経新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4502 武田薬 高配当利回り。 ・9434 ソフトバンク 業績堅調。執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
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